高遠へ 「高遠ブックフェスティバル」初日

foxsya2009-08-29

午前7時半新宿発の高速バスで伊那市に向かう。伊那市で在来のバスに乗り換えて高遠まで。「第1回高遠ブックフェスティバル」http://takatobookfestival.org/に参加するため。

昨夜は、「書評のメルマガhttp://back.shohyoumaga.net/10周年記念パーティー。知っている人が誰も来なかったらどうしようと、ややびびって会場に着くと、受付に塩山さんがいてほっとする。塩山さんのブログ「日刊漫画屋無駄話」の内容に、電話で抗議があったとかで、実に楽しそう。<BOOKONN>http://www.bookonn.com/の中嶋さん、南陀楼さんhttp://d.hatena.ne.jp/kawasusu/ 、畠中さん、<リブロ>の荒木さん、<晶文社>の高橋さんhttp://www.shobunsha.co.jp/scrap/ と、知り合いもやってきて、そのままの流れで2次会へ。南陀楼さんは、「高遠ブックフェスティバル」へは、実行委員会が用意した午前7時新宿発のツアーバスで向かうという。

高速は八王子辺りで渋滞。東京を抜けるまでが大変だった。40分ぐらいは遅れている感じか。双葉SAでトイレ休憩。売店南陀楼さんがいた。ツアーバスに追いついてしまったようだ。

伊那市には、やはり40分遅れで到着。高遠行きのバスに乗り継げず。次のバスは1時間後。それでは、予約した角田光代さんのトークショーに間に合わない。高遠に行きそうな「匂い」の方々に声をかけて、乗合でタクシーで行くことにする。「BOOKWORM」というリーディングのイベントに参加するカップルの方と、北尾トロさんの事務所でアルバイトしているという実行委員の方。

高遠に着くと、人が多くてびっくり。<本の家>オープンのときに一度来ているが、そのときは、ひっそりとした静かな町だった。盛況のようだ。携帯に南陀楼さんから電話があり、図書館で待ち合わせることにする。図書館の脇の広場では、子供たちが工作中。スズキコージさんと子供たちが山車を作るというワークショップだろう。大きな3体のスズキコージらしい色彩の動物。明日は、この山車が子供たちと一緒に町を練り歩くというから楽しみだ。

図書館は小さいながらも充実していて、簡易印刷・製本の出版物も多く出していて、それを頒布している。南陀楼さんは「高遠図書館の歩み」300円也をお買い上げ。その後、今回のフェスティバルの本部機能を持っているらしい「やますそ」という建物(公民館?)に向かう。ここの講堂で角田さんのトークショーがあるのだ。南陀楼さんとは、ここで一端別れる。

角田さんのトークショーは満員。開始と同時に、カメラを持った子供たちが、おそるおそる演壇の前に進み出て角田さんを撮影。企画の一つである「こども新聞」の記者たちだ。このイベントで素晴らしいと思うのは、子供たちが参加できるイベントがたくさんあること。

「世界の本の町」の展示を行っている不忍ストリート青秋部http://d.hatena.ne.jp/seishubu/ の二人と一緒にトークを聴く。角田さんのトークは、北尾トロさんが進行役。角田さんの小説観、恋愛小説家と呼ばれることについて等。好きな作家は尾崎翠、最近読んで印象に残ったのは桐尾夏生の『IN』とのこと。友人たちと駅伝チームを作って走っているが、体が重く走りに影響があり、チームの皆に迷惑をかけて、何とかしなきゃと思っていたところに、「クロワッサン」のダイエット企画の依頼があり、渡りに船と承諾し、「腹八分目」ダイエットにチャレンジをした。食物のカロリーは一切気にせず、とにかく食事を2割残すという、このダイエットについては、北尾さんも「そんなので本当に痩せるの? カロリーとかが重要じゃないの」と言っていたが、角田さんは「胃が小さくなって痩せるんです。6キロ痩せて、走りが楽になりました。それまでは、ペットボトル何本もかついで走ってたのと同じなわけだから」と答えていた。体が重くて、駅伝チームのメンバーに迷惑をかけているというのは、自分と全く同じだ。痩せなくては。

恋人という存在が、角田さんにとって社会への接点なので(恋人がいないと自分の世界に閉じこもってしまう)、少しでもいない時期があると困るという話はどこかで読んだことがある。石田千さんとの飲みながらの対談だったろうか。暴力をふるうような男性じゃなければ、どんな人でもいい。面倒くさいのは嫌なので、シングルに限るのだが、35歳ぐらいを過ぎてから、シングルの人がなかなか見つけにくくなったのだとも。小説では、きっちり割り切れないものを描いているが、個人的には、何事につけても分類をするのが好きだそうで、「私が42歳なんですが、私の前後5歳幅(37歳から47歳)の男性は、男性のほうから誘うということをしないですね」と言い、休憩時間に提出された質問用紙に回答する、トーク最後のコーナーでも、女性の恋愛相談に「あなたのほうから誘わなきゃダメです」と。終始、楽しいトークであると同時に、角田さんの真剣な小説観も聴くことができた。角田さんの小説を未読な聴衆は、読みたくなったに違いない。

トーク会場を出ると、南陀楼さんと河出のつかださんたちが待っていた。つかださんの車で<高遠長藤文庫>http://osafuji.web.fc2.com/まで連れていってくれるという。前回、来たときには、足がなくて行くのを断念していたので嬉しい。「やますそ」を出たところに、大きな掲示板があり、こども新聞の記者が撮った写真が貼られていた。もう、角田さんのトークの写真も。角田さんは輝くような満面の笑み。これは、きっと相手が子供ならではの自然な表情だ。

一度、行ったことのある南陀楼さんのナビゲートで出発。行っても行ってもなかなか着かない。10キロ以上あるのではないか。10分ぐらいで到着するが、入口に29日・30日臨時休業の貼り紙が! 「当店はブックフェスティバルと関係がありません」とも書いてある。フェスティバルに関係はなくとも、高遠に来たら、こちらの店にも寄りたくなるだろう。現に、在来のバスで来たらしい女性2人組の姿も。多分、事前に告知はされていたのだろうが、楽しみにしていたので残念。

豆本展示等の会場になっている<TETSURO>まで戻る。築80年ぐらいの素晴らしい古民家。旦那さんは、伊那市で鉄工房をやっていて、奥様は染色の仕事をしている。そのご夫婦の自宅を、期間中はギャラリーにしているという。展示されている、豆本、鉄製品、陶磁器、どれもが素敵なものばかりだが、こうなると、家自体が展示物だ。ここで、つかださんの知り合いに会う、やはり、<高遠長藤文庫>まで行き、引き返してきたようだ。

フェスティバル会場中心部の古本即売場に行く。<オヨヨ書林http://oyoyoshorin.shop-pro.jp/ さん、<パラディ>さん、先月訪れた金沢の<あうん堂http://www.aun-do.info/ さんらが出品。<あうん堂>のご主人には「同じ宿ですね。宿帳に名前ありました」と言われる。今夜は、フェスティバル会場ど真ん中の<竹松旅館>に宿泊するのだ。びっくりしたのは、御茶ノ水エコロジーショップ<GAIA>http://www.gaia-ochanomizu.co.jp/shop/ が経営する<みみをすます書店>が参加していたこと。<GAIA>には、何人か飲み友達がいるのだ。聞けば、午前中にはS代表もいたとのこと。会いたかったが残念。<みみをすます書店>は、エコロジー本専門で、一般の古本屋より少し高めの値付け。ここでの売れ行きも好調らしく、他の古本屋さんにとっては、こういった本が、よく売れているのは新鮮な驚きだったよう。

ここで、戸板康二久保田万太郎』(文藝春秋)、『新鋭作家叢書 後藤明生集』(角川書店)、堀内誠一が絵を描いている『たくさんのふしぎ アメリカ・インディアンはうたう』(福音館書店)、金沢のミニコミ「そらあるき」の5号と6号を買う。「そらあるき」は、イラストレーターのスソアキコさんと児童文学翻訳の吉上亮太さんが、それぞれ寄稿している号。

散歩がてら川原のほうも歩き、フェスティバル専用の臨時駐車場も覗いたが、常に満車。80台以上は駐まっているのではないか。都心部と違って、車社会では、1〜2時間ぐらいの移動は大して苦にならないのだろう。長野全体からお客が集まっているようだ。名古屋からも2時間程度で来られるため、名古屋方面から来ている人も多そう。

高台に神社があり、そこへは300段以上の石段を登らなくてはならない。午後5時から神社近くのカフェで飯沢耕太郎さんの「きのこ文学トーク」があるため、ひたすら石段を登る。息を切らしながら到着。カフェには、飯沢さんの所有のきのこグッズが所狭しと並べられている。あのマタンゴが自転車に乗っている! おもちゃまである。飯沢さんにご挨拶。Pippoさんが唄う飯沢さん作詞の「キノコキノクラ」をわめぞ村青年合唱団でコーラスをした旨を伝えると、「そうだってね」と笑顔。10月に仙台の<火星の庭http://www.kaseinoniwa.com/index.html で、少女マンガ関係のトークをするそうで、「よかったら来てね」とも。

カフェ特製のきのこキッシュをいただき、お茶を飲みながら、飯沢さんの「きのこ文学」とは何かという話を聴く。ところどころで、飯沢コレクションの図版等を見せてくれる。飯沢さんの写真評論を読んだことはあったが、「きのこ文学」については、初めて聴くので興味深い。『不思議の国のアリス』の話、映画「マタンゴ」のもとになったホジスンの「夜の声」の話など。「夜の声」は読みたくなった。トーク終了後、平凡社新書の『きのこ文学大全』を買って、サインをしてもらう。可愛らしいきのこの絵も描いてくれる。きのこ絵本出版の計画もあるそうだ。『きのこ文学大全』は五十音順にきのこが出てくる作品をまとめたもの。どこから読んでも面白そうだ。

トーク終了後、カフェから宿まで戻る途中、久しぶりに本当の闇を経験する。携帯の液晶の光を頼りにするも、道がどこにあるかもわからない。闇に目が慣れるまで、しばらくじっとする。他の人もおっかなびっくりゆっくりと道を進んでいた。この帰り道は、スタッフの誘導があったほうがいいかもしれない。下のほうまで降りて、電灯のあるところに来ると、ほっとする。ちょっとした肝試しだった。

旅館で風呂に入り、ゆっくりしてから「本の家」http://hon-no-machi.com/に向かう。午後10時から本日のラストイベントの北尾トロさんのトークだ。ライターだったトロさんが、出版を始め、インターネット古本屋を開店し、期間限定ブックカフェをやり、この地に実店舗を開店し、今回のブックフェスティバルを開催するまでの道のりを話してくれる。明日の「本の町」シンポジウムにつながるような形で終わった。今日の話を聴く限り、トロさんの「本の町」への思いは、力が入らず、自然体で、言葉は悪いかもしれないが「ゆるい」感じで素敵だ。シンポジウムでは、他のパネラーも、トロさんの素敵な言葉を引き出してくれそう。明日が楽しみだ。

酒でも飲みたい気分だが、この時間やっている飲み屋もない。ビールでも買って旅館で飲むなんてことも、深夜営業のコンビニもないので、無理。久しぶりに健康的な夜になりそうだ。

高速バスの中で、飯田泰之他『経済成長って何で必要なんだろう?』(光文社新書を読了。飯田泰之が、湯浅誠や赤城智弘らと対談し、「哲学」や「思想」ではないツールとしての経済学を説いた本。飯田泰之、絶好調。

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

経済成長って何で必要なんだろう? (SYNODOS READINGS)

▼わめぞイベント

◎「外、行く?」 第16回 古書往来座外市 〜軒下の古本縁日〜
2009年9月5日(土)〜6日(日)

会場:古書往来座外壁  ゲストは中野新橋の2店舗! 古書猫額洞さんと伊呂波文庫さん!

◎第3回 鬼子母神通り みちくさ市 〜商店街が、1日だけの古本街!〜

2009年9月20日(日)/雨天時は翌21日(月・祝)に順延

出店参加者は9月1日(火)21:00〜募集開始予定

詳細は公式ブログで順次更新 >>http://kmstreet.exblog.jp/

▼それ以外のイベント

◎MARCHE*マルシェ*MARCHE 9日間の本&紙モノ&ポスター&グッズフェア
出版社・工作舎、洋書の写真集専門店・Shelf シェルフ、小部数限定ビジュアル本販売・Ricochet リコシェによる9日間限定フェア

おすすめ新刊本、洋書から、カタログ、ノベルティ・グッズ、ポスター、アートグッズ、そして安さびっくりサンプル本セールと読者サービス本など、いろいろとごちゃごちゃと、どっさり展示販売。

2009年8月25日(火)・27日(木)・29日(土)、9月1日(火)・3日(木)・5日(土)・8日(火)・10日(木)・12日(土)※火曜・木曜・土曜のみの営業となりますのでご注意下さい

[場所] 古書 日月堂  東京都港区南青山6-1-6 パレス青山207号 TEL&FAX:03-3400-0327 問合せ先:リコシェhttp://ricochet-books.net/

◎Book! Book! Sendai 「街を本と歩こう」 

2009年9月4日(金)〜8日(木)10:00〜20:00(8日は17時まで)

会場:クラックス4階特設会場 主催:Book! Book! Sendai 協力:風の時/NPO法人20世紀アーカイブ仙台/仙臺文化/stock 書本&cafe magellan(マゼラン)/book cafe 火星の庭 

展示内容 ◆『100年前、50年前の仙台の原風景展』 ◆ 8ミリで観る「仙台の昭和30年代風景」上映 ◆「仙台出版今昔」 ◆ Book! Book! Sendai プロデュース古本市 
内澤旬子と三匹の豚
内澤旬子さんhttp://kemonomici.exblog.jp/ が春から育てた三匹の豚は9月15日食肉になります。フランス、韓国、タイの料理に調理され、さらに加工品、なま肉も販売するという会を開きます。

2009年9月29日(火)午後5時から10時まで(お好きな時間にお立ち寄り下さい)

会場:神楽坂<シアター・イワト> http://www.theatre-iwato.com/

入場料:2,500円(お酒とお持ち帰り食品は別料金)

※会場ではイワトひょうげん塾「映画を作ろう!」班の男子5人が、内澤さん+三匹を撮影してきた映像を上映。当日は式次第があるわけではなく、内澤さんは会場にいますが、トークイベントはしません。ただひたすら食べたり飲んだりワーワーする会です。

予約お問い合わせは、<シアター・イワト>ではなく、下記にお願いします。

平野公子 haru@jazz.email.ne.jp 携帯080-5452-3165

浅生ハルミンさん原作の映画「私は猫ストーカー」絶賛上映中
http://nekostalker.jp/