チャレンジングな3人

foxsya2008-11-03

文化の日で休み。古本屋巡りでもしようかと思ったが、結局、体動かず。夕方になってのそのそと動き出す。阿佐ヶ谷行きのバスに乗り、新高円寺で降りる。いつもだったら、<ブックオフ>を覗くのだが、今日は時間がない。<ナチュラルローソン>に寄り、エコベールの食器用洗剤を買う(<ナチュロー>以外に売っている店を知らないので)。商店街を冷やかしながら高円寺駅方面に向かう。100円ショップで銀杏割り、輸入雑貨の店ではCPRM対応のDVD-Rメディア等を買う。

<大石書店>の均一を覗く。ここは専門書に力を入れているためか、比較的新し目の文芸関係が300円ぐらいで出ていることが多いので、よく覗いている。『はじめての文学 小川洋子』(文藝春秋)、メイ・サートンメイ・サートンコレクション 回復まで』(みすず書房)を持って店内へ。映画の棚をふと眺めると「俳優館」の文字が目に飛び込んでくる。宮口精二の雑誌「俳優館」に掲載されていた対談をまとめた単行本だ。これ欲しかった。『俳優館 対談 宮口精二』(白川書院)もレジへ。

コクテイルhttp://blog.livedoor.jp/suguru34/ のそばまで行くと、自転車に乗った狩野さんに会う。お店に入れるかと訊くと、大丈夫とのこと。今日は向井さんhttp://d.hatena.ne.jp/sedoro/ が話すトークショーがあるのだが、予約が必要かどうかもわからないまま、とりあえず直接来てしまった。狩野さんの『高円寺 古本酒場ものがたり』(晶文社)を持ってきて、署名をもらおうと、いつも思っているのだが、今日も忘れてしまった。

店に着くと、カウンターに向井さんと瀬戸さんhttp://ouraiza.exblog.jp/の姿が。トークが始まるまで、飲みながら話す。後から、Pippoさんhttp://blog.livedoor.jp/pipponpippon/ 、魚雷さんhttp://gyorai.blogspot.com/
、<旅猫雑貨店>のか猫さんhttp://tabineko.seesaa.net/ もやってくる。その他に見知った顔がいっぱい。

トークの話者は古本の世界で最近、新しいことを始めたチャレンジングな3人。まずは「わめぞ」の向井さん、<南部古書会館>で、「五反田アートブックバザール」を始めた<うさぎ書林>の芳賀さんhttp://usagi-hibi.jugem.jp/ 、そして、今回のトークの企画者でもある<西部古書会館>で「ちいさな古本博覧会」を始めた<paradis(パラディ)>の岩崎さんhttp://plaza.rakuten.co.jp/yumenosuke2/ (「外市」でおなじみ白シャツ王子こと<古書文箱>さんの現在の雇い主でもある)。

芳賀さんの著書『インターネットで古本屋さんやろうよ!』(大和書房)は、北尾トロさんの『ぼくはオンライン古本屋のおやじさん』(風塵社)と共に、「古本屋やりたいなあ」と妄想力を刺激してくれた本。芳賀さんは、組合加盟前には、第1回の「一箱古本市」に出店していらしたり、何軒かのオンライン古書店に声を掛けて品川のフリーマーケットに参加していて、そういったところで本を買わせてもらったこともある。もちろん、オンラインでも映画本を中心にしていろいろ買わせてもらって、我が家の書棚の小津本はうさぎさんから買ったものが随分あるのではないか。その後、オンライン販売はやめられたが(びっくりした人多し)、デパート展などでは、お元気な姿を拝見している。

同じく、映画本に強いのが<paradis(パラディ)>さん。私は高校3年間を浜田山という町で過ごし、中学の先輩が飲み屋をやっている関係で、今でもときどき行く。ある日、いきなり古本屋ができていた。覗いてみると、映画本を中心とした魅力的な品揃え。何度か通って、いろいろ買ったが(もちろん小津本も)、そのうち開いていないときが増えたと思ったら店売りをやめてしまった。川上澄生全集が格安で出ていて、買い逃して後悔した思い出もある。

3人とも「このままではいけない」という、古本屋周辺の一種の閉塞感の打破、そしてビジネスとして(食っていくために)、少しでも売り上げを! という思いから新しいイベントを始めたようなところはあるのだろうが、もちろん、新しい試みを楽しもうという気持もあるだろう(「お客さんに楽しんでもらおう」も)。芳賀さん、岩崎さんは、古本屋開業前にいろいろなビジネスの経験をされているだろうから、古本業界に思うところは多そうだったが、それに対して、とやかく言うよりは、自分たちでどんどん新しいことをやってしまおうという感じだろうか(向井さんも)。<パラディ>のお店で、岩崎さんに「古本屋さんの前は何をやってらしたんですか?」と訊いたことがある。そのときに「海の近くのほうで八百屋をやっていたんですよ」と仰っていたような気がするが、かなり怪しい記憶なので思い切り間違っている可能性も高い。

3人の話から上記のような勝手な感想を持ったが、これからの「外市」「五反田アートブックバザール」「ちいさな古本博覧会」も楽しみだ。そして、この3人の周囲からは他にも新しいものが試行錯誤しつつ生まれていくに違いない。まずはわめぞの「鬼子母神通り みちくさ市」か(か猫さんが出来たての「みちくさ市」チラシを配布。<豆惚舎>さんhttp://zuborasha.blog.shinobi.jp/ デザインの素敵な地図)。

「うさぎさんは南部の誇りだ〜!!」と叫んでいるのは、<揚羽堂>さんhttp://plaza.rakuten.co.jp/agehado/ じゃないだろうか。<石田書房>さんも、トイレに行かれるときに、凛とした声で、「声、小さいよ!」と芳賀さんにアドバイス。何だか、芳賀さんを取り巻くハートウォーミング(?)な感じもとても素敵だった。そういえば、<うさぎ書林>さんは<ふぉっくす舎>と同時期に、西荻の<ハートランド>で棚を借りていた時期もあった。阿佐ヶ谷に<石田書房>さんhttp://jimbou.info/town/ab/ab0193.html がオープンしたときにも、<うさぎ書林>さんの棚があった(こうして振り返ると、結構、<うさぎ書林>ウオッチャーだなあ)。

古本業界の厳しさを再認識させられると同時に、新しい試みが次々と生まれることに安堵もし、その試みを楽しみにしている自分は、もちろん外野から野次馬的に見ているだけなのはわかっていつつも、古本屋さん達のあったかさを感じながら杯を重ねるのだった。<コクテイル>という「場所」の魅力もあったかさを増幅している。帰りはいろいろ考えながら、ちょっと長めに歩きたい気分。

以下2冊を<コクテイル>で購入。

山田稔特別な一日』(朝日新聞社
原田芳雄『B級パラダイス 俺の昨日を少しだけ』(KKベストセラーズ

牧薩次『完全恋愛』(マガジンハウス)を読了。辻真先描くところの牧薩次が探偵役を務める作品は20年以上前に随分読んだものだ。この著者の本格ミステリは久しぶりに読んだが、これは久々の傑作では。若い本格ファンは、この作者の作品はあまり読んでいないのではないか。確かに濫造気味のきらいもあるが、傑作も多い。『書評のメルマガhttp://www.shohyoumaga.net/の連載で取り上げたい。メルマガ未購読の方、是非、登録をお願いします(無料です)。

完全恋愛

完全恋愛

[イベント情報]

その1
彷徨舎『ハルミンの読書クラブ』『ナリコの読書クラブ』刊行記念
浅生ハルミン×近代ナリコトークセッション「古本と猫」
http://www.books-sanseido.co.jp/blog/jinbocho/2008/12/1219.html
■日時:2008年12月19日(金)20:30〜
※閉店後の開始です。運営の関係上、20:15までに4階売場までお越しください。

■会場:三省堂書店神保町本店4階特設会場
■定員:30名様
■入場料:500円(税込)店頭もしくはお電話にてご予約の上、当日お支払
■お問い合わせ先 三省堂書店神保町本店4階 03-3233-3312(代)
■受付時間:10:00〜20:00
トークセッション終了後、サイン会を行います。

古本情報誌『彷書月刊』の連載が本になりました。刊行を記念し、本に出会うことのよろこびにいつでも一途なお二人が、「古本の街」神保町の夜をかろやかに駆けぬけるガールズ・トークセッション。本好き猫好きのお二人のあいだにどんな化学反応が起こるのか?乞うご期待!浅生さん、近代さんの近刊著作も販売します。みなさまのご参加をこころよりお待ちして申しあげております。

その2
◎2009年1月10日(土)〜11日(日)
第12回 古書往来座 外市
蟲文庫(岡山・倉敷)参加決定! 
■わめぞからお知らせ
「わめぞ」では早稲田・目白・雑司ヶ谷、またはその周辺、新宿、池袋などの地域にて、いろいろな業種の方、商店街などと一緒にイベントをする可能性も模索しております。なにか企画などございましたらお気軽にお問い合わせくださいませ。具体的な企画がなくても「なにかできないか」などでもかまいません。よろしくお願い申し上げます。取材などのお問い合わせも下記までお願いいたします。
古書現世・向井まで k-gensei■nifty.com  (■を@に変換してください)
TEL&FAX 03−3208−3144 11:00−19:00