楽しい初句会

昨日は祖母の百ヶ日で納骨だった。本来、納骨は四十九日だが、四十九日の後に新居が完成だったので、新居に祖母を住まわせてあげたいということでこの日になった。もちろん、生きているうちに見せてあげられれば一番良かったのだが。

荷物が多かったので、タクシーを呼んで阿佐ヶ谷のお寺まで。ここは先代の貴乃花のお墓がある。お墓ができるときのゴタゴタの際にはご住職がよくワイドショーに出ていたっけ。タクシーの運転手さんも、お寺の名前だけで「貴乃花のお寺ですね」と。

久しぶりに2歳の可愛い姪に会う。納骨のため永福町のお墓に向かうマイクロバスでは、ずっと私の膝の上。両親は違う車で向かったが「パパ、ママ、バイバイ」と、意外にも平気。「大きいバスだね〜」と語りかけると「ちっちゃい!」と返されてしまった。

納骨を終え、寺に戻り、食事を終えて、自宅に親戚たちと戻る。タクシーに乗ると、見覚えのある運転手さん。偶然にも行きの運転手さんだった。運転手さん曰く「こういうこと、よくありますよ」とこちらに比べて感動(?)なし。

新居の両親宅で小宴会。私の家も見たいということで、その間に2、3階の自分の部屋を片付ける。小宴会が終わり、新居の見学会。本の段ボールはまだ半分ほどしか開けてないが、本棚をチェックした叔父が、天藤真『殺しへの招待』(角川文庫)、弟が大沢在昌新宿鮫 無間人形』(読売新聞社)、奥田英朗イン・ザ・プール』(文藝春秋)、ローラ・ヒレンブランド『シービスケット―あるアメリカ競走馬の伝説』(ソニーマガジンズ)を借りていった。弟曰く「こんな本棚しかないような家、住みたくねえなあ。これ、普通の人の感覚だと思うよ」とのこと。

親戚たちが帰った後、急いで支度をし、某所へ向かう。今夜は句会初体験。小林恭二岩波新書の句会本『俳句という遊び−句会の空間』『俳句という愉しみ−句会の醍醐味』などを読んで、興味はあったのだが、機会あって誘っていただいたので、喜んで参加。

今回の参加者は10名。そのうち8名がほぼ初体験。節分で1句と自由題で1句、合わせて2句を用意して臨む。なかなか考える時間がなかったが、一昨日、職場で昼休みに歳時記片手にひねり出した。本当はいくつか作って、その中から出来のいい2句をというのが理想だろうが、なんとか2句だけ作る。

句会経験者の2人にリードしてもらって順調に進む。2枚の短冊に句を書き、無記名で提出する(ものすごい緊張感。初体験の人は皆、そうだったようだ)。これをシャッフルして皆に2枚ずつ配る。これを各自が番号を振った紙に清書する(清記というそうだ)。これで、筆跡もわからず、誰の句がどこに書かれたかがわからなくなる。

この清記した用紙を回覧し、印象に残った句を各自がメモしておき、気に入った句を今回は3句選ぶ。もちろん自分の句を選んではいけない(この会では、選んだら切腹だそうだ)。正直、素晴らしい句ばかりで驚いた。全部で20句だが、自分のものを除いて18句。半分の9句をメモし、何とか4句まで絞ったのだが、あと1句が落とせない。

最終的には「えいやっ」と選んで投票。得票数の多いものから、投票した人に評してもらう。人の評を聞くと、自分の解釈と違っていたりして新鮮だ。一通り、評が終わったところで、その句の作者が発表される。これも面白い。この句をこの人が書いたのかという驚きがある。

楽しい2時間があっという間に終了。一番票を集めた句を作者に小さな色紙に書いてもらう。とても自分が色紙に書けるときが来るとは思えないが、句会はとにかく楽しくて、やみつきになりそう。

素晴らしい句を紹介したいところだが、人の句は勝手に書くわけにはいかない。恥ずかしいが自分の駄句だけ書いておく。

節分の豆に飛びつく子猫たち

湯婆(たんぽ)抱き丸くなるさま兜の子

猫好きが多かったらしく(冬という季節もあってか)猫の句が4句もあった。兜の子の句は1票いただいたが、選んでいただいた方に「兜の子って何?」と聞かれてしまった。兜の子はカブトムシの幼虫を表現したのだが、わからないほうがよく思えることもある。

この後の飲み会の席で俳号もつけてもらう。<ふぉっくす舎>にちなんで、狐穴。こけつと読みます。どうですか?

性格的には、こけつに飛び込むタイプではないが、何とかこけつまろびつ俳句を作っていきたい。

本当に楽しい夜だった。次回は1ヶ月後に。待ち遠しい。もう少しましな句を作りたいものだが。

プリーストリー『夜の来訪者』(岩波文庫を読了。巷で言われているほどのどんでん返しでもないが、たたみこまれるようなサスペンスは見事。また、当時の社会情勢を背景にした作者のアピールがストレートに表現されているが、嫌みではなく、作者の誠実さが伺える戯曲だ。日本でも俳優座によって何度も演じられているそうだが知らなかった(初演で警部を演じたのは東野英次郎)。戯曲やシナリオを読むのが苦手だという声もときどき聞くが、私は昔から戯曲・シナリオ好き。クリスティーは、それほど読んでいないが、戯曲は全て読んでいる。だから、わざわざ『ねずみとり』を他の人がノベライズしたりすることには違和感がある。

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)

夜の来訪者 (岩波文庫 赤294-1)