『東京の暴れん坊』を買う

本日は仕事を休み、母と一緒に郵便局や銀行廻り。一年半前に亡くなった母方の祖父に関する事務手続き。

郵便局は、手続きの説明書類によれば、祖父が口座を持っていた岩手県の雫石の局に提出しろとのことだったが、仙台の貯金を管理するセンターに電話をして、「無理」と伝えると、あっさりと「じゃあ、どこの郵便局でもお好きなところで」と言われた。だったら、もっと説明の書きようがあるだろうに。というわけで、あまり小さい局では処理になれていないかと思い、新宿西口の本局へ行く。

大きい郵便局は、やっぱり待つ。カードを取って40分後、やっとカウンターへ。大きい郵便局でもやっぱり慣れていない処理らしく、スムーズにいかない。丁寧に説明を繰り返し、何とか手続きを終え、神田に向かう。

神田は、岩手銀行の東京営業所。こちらは、応接スペースに案内され、話はスムーズに終わる。郵便局も銀行の処理も、このまま無事に終わってくれればいいのだが。

母がこの辺りはあまり来たことはないというので、神保町まで歩くことにする。近くの<ブックファースト>で地図を見て、道を確認。先日の「秋の一箱古本市」で、<cafe ヒナタ屋>http://www4.plala.or.jp/HINATA-YA/ のTさんと歩いているときに、「ひょっとして方向音痴でしょ?」と指摘されたが、こういうとき、道を確認しておかないと、大概、目的地の反対方向に向かってしまう。日垣隆の『方向音痴の研究』(ワック)でも読んでみようか。

神保町に着き、まずは<書泉ブックマート>で、の長尾 朋寿(野上ヒロノブ原案)『ほろ酔い酒房』(マンサンコミックス)を探す。3巻まで揃っていたが、とりあえず2巻までを買う。神保町で、コミックを買うときは、いつもここ。他にいいところがあるだろうか。

書肆アクセスhttp://plaza.rakuten.co.jp/accesshanjoe/ に行き、入荷したばかりの塩山芳明『東京の暴れん坊―俺が踏みつけた映画・古本・エロ漫画』(右文書院)を買う。署名入り。署名と一緒に<漫画屋>の社判が押してあり、朱肉のあて紙に<漫画屋>の原稿用紙が使われている。

ちょうど、石丸澄子さんが来ていて、「石丸澄子 本の散歩ポスター展」http://www.gallerycomplex.com/act3.html の告知葉書をいただく。11月5日(月)から17日(土)まで。時間を作って見に行きたい。

帰りの電車で塩山本をひたすら読む。塩山さんが、過去に雑誌に発表した書評や映画評が中心だが、編集の南陀楼さんhttp://d.hatena.ne.jp/kawasusu/ がアイデアを出して、書き下ろさせたものが「エロ漫画の苦界に身を沈めるまで」「俺の映画雑誌記事オールタイムベスト10」「輝ける投稿職人・菜摘ひかる」「拝啓 担当編集者様は馬鹿ばかり」「創作ノート(小林信彦風に)」と5本ある。この書き下ろしが本を引き締めている。テーマの選び方が面白く、南陀楼さんの編集者としての力量を感じる。

「創作ノート(小林信彦風に)」から読み始め、序に戻って、順に読んでいくが、塩山節絶好調という感じで、面白くて、家に着くまでに、3分の1を読んでしまう。「俺の映画雑誌記事オールタイムベスト10」で、いくつも気になるものが。1位の「白坂依志夫の人間万華鏡」は、特に面白そう。均一台で、「シナリオ」のバックナンバーを見かけてもスルーしていたが、これからは中身を確認してみよう。

白坂依志夫脚本の映画は、増村保造監督のものなど何作か見ているが、確か、長坂秀佳が師事していた人だったような気がする。(記憶が定かでないが)。何で、そんなことを思い出したか。塩山さんは、杉作J太郎氏とともに「特捜最前線」の長坂秀佳シリーズに凝っていた(?)というのをどこかで読んだことがあったので、そこからの連想か。

慣れない手続きをしたせいか、思ったより、疲労困憊だが、明日からの「外市」のために、本の値付けをしなければならない。9月の九州出張時に買ってきた本を中心にスリップを作っていく。とりあえず、2時間ほどで今夜の作業は終了させる。今回は、あまり魅力的な本を揃えられなかった。前回の売上約20,000円には届きそうもない。

目覚ましをセットし、布団に入る。

苅部直丸山眞男リベラリストの肖像』(岩波新書を読了。既に発表されているものだけを基に手際よくまとめる手腕に関心。研究者としての優れた資質と、著者のスマートな頭脳を感じさせる。眞男の弟・邦雄の兄への批判が興味深い。著者曰く「この弟のことをみなが忘れているのは、いったいどうしたことだろうか」。

丸山眞男―リベラリストの肖像 (岩波新書)

丸山眞男―リベラリストの肖像 (岩波新書)