野球をやった後に野球小説のことを考える

本日、自分の野球の大会があり大宮の河川敷にある健保球場(何十面というグラウンドがある)へ向かう。

今回の自宅の解体に伴って、車を処分した(月3万以上の駐車料金を支払うのは馬鹿らしい)ので、集合場所である朝霞台駅まで電車で向かう。ちなみに、処分した車は、買って11年で走行距離2万5千キロ。自分にとって車が本当に必要なのか、要再考の距離だ。

8時過ぎには池袋発の東上線に乗らなければならないが、昨日の上棟式後の飲みで、二日酔いのため、体がシャキっとしない。

朝霞台からメンバーの車で、球場まで向かい、9時半に到着。昨日の涼しさと違って、灼熱の天気。一時間ほど練習で汗を流し、懸命に酒を体から追い出す。先発メンバーの発表があり、今日は7番セカンド。サインなどの確認をする。

緊張感も手伝ってか、練習の効果か、爽快感の中で11時半の試合開始を迎えられた。本日の球審は、昨日の高校野球西東京大会決勝の創価対八王寺戦で球審を務めた方だ。

相手は、過去2年連続で敗れている強打を誇るチーム。40チーム以上あるトーナメント戦であるのに、よく当たる(去年、一昨年は2回戦や3回戦で当たっていたが、今年は初戦)。去年は3位になっているチームだ。

それでも、外野に面白いように球を運ぶのはクリンアップぐらい。バッテリーの慎重な攻めとバックの攻守もあり、中盤までは最小失点。

こちらも再三のチャンスをつかむが、送りバントが小フライになったり、ライナーが内野手の正面をつくなど、ランナー2人を塁上に置いた場面でのダブルプレーがあり、得点をあげることができない。

後半に小刻みに点を重ねられ、0-5で最終回を迎える。2死後に打順が廻ってきた。アウトになれば試合終了だ。

今日は一打席目は、サードゴロ。2打席目はセンター返しで、投手横を抜けようかというジャストミートを投手の攻守で捕られた。コントロールのいい投手で、今日の配球の組み立ては初球は全て外角低めいっぱいのストレートだったので、その球にヤマを張る。

思い切り外に左足を踏み出し、バットをボールにぶつけると、打球はファーストの頭上を抜け、ライン際で跳ね上がる。最後に一矢報いて、二塁打が打てた。

しかし、後続が続かず試合終了。この大会で1回戦で負けるのは久しぶりだが、9月以降に、まだ大会が二つ残っている。気を取り直して頑張りたい。

朝霞台での反省会後、<ブックオフ 朝霞台店>に寄り、埴谷雄高編『スポーツ、わが小王国』(新潮社)、中島京子『さようなら、コタツ』(マガジンハウス)、樋口有介『初恋よ、さよならのキスをしよう』(講談社文庫)を買う。

帰宅後、岡崎武志さんのブログhttp://d.hatena.ne.jp/okatake/ を読んでいると、「野球小僧」で野球小説についての連載を始めるとの記述が。

昨日、堂場瞬一『大延長』(実業之日本社)を読み終わったばかりだが、野球をプレーするのも好きだが、野球に関する本を読むのも大好きだ。

ミステリーで、野球界を舞台にしたものは多い。天藤真『鈍い球音』(創元推理文庫)、有馬頼義『四万人の目撃者』(ベースボールマガジン社)、戸松淳矩『名探偵は九回裏に謎を解く』(創元推理文庫)、佐野洋の短編諸作などの古いところから、吉田直樹『ラスト・イニング』(新潮社)、青井夏海『スタジアム 虹の事件簿』(創元推理文庫水原秀策『サウスポーキラー』(宝島社文庫)といった新し目のものまでいろいろある。

ミステリー以外では、藤原審爾『天才投手(上下)』(徳間文庫)、海老沢泰久『監督』(文春文庫)、『孤立無援の名誉』(講談社文庫)、五十嵐貴久『1985年の奇跡』(双葉文庫)、阿部牧郎、川上健一、赤瀬川隼の諸作などが頭に浮かぶ。映画化された小野稔『あなた買います』(元・南海監督の穴吹氏を巡るスカウト合戦のモデル小説)もあった。

好きな作品はといえば、国内では高橋三千綱『カムバック』(新潮文庫)、海外では(海外にも、いくつも秀作があるが、その他の作品の紹介は今回は省略)、バーバラ・グレゴリッチ『彼女はスーパールーキー』(ハヤカワ文庫NV)だ。

前者は野球界を舞台にしたよくできた人情話の連作短編(涙なしには読めない)。後者は女性がプロ野球で活躍するよくある話。ただ、女性がプロ野球で…というと『赤毛のサウスポー』のようにポジションは投手が多いが、この作品では遊撃手というところが新味だろうか。数々の困難に打ち克つ彼女の姿に自然に応援している自分に気づく。

佐藤忠男小津安二郎の芸術(上)』(朝日選書)を読了。小津のスタイルが初期の作品から確立されていたことを再確認。昭和4年の内田岐三による「肉体美」の評「彼は術を弄さず、奇を衒わず、(略)そのテムポと、その適度のキャメラの動きと、身に備わった或る種の風格があるのを見る」。固定したカメラにより動いている人物を撮る際の、観客にわずらわしさを与えない画面構成の妙の分析は見事。「麦秋」「早春」「お早う」といった映画を見直して確認したくなる。写真は朝日文庫

完本 小津安二郎の芸術 (朝日文庫)

完本 小津安二郎の芸術 (朝日文庫)