12勝24敗の「くじ引き文庫」-「一箱古本市」参加記

foxsya2006-04-29

天気予報の降雨の時間が日を追うごとに後ろにずれていき、今朝の時点では夕方5時頃になっていた。メールをチェックすると、「一箱古本市http://sbs.yanesen.org/hako1/2006/invitation.html は開催されるということなので、荷物をまとめて集合場所の<往来堂書店>へ向かう。

出店場所である豆腐料理のお店<豆腐 room Dy’s> http://www.monkudo.net/dys/ の午前中の専従スタッフになっているので、出店者が揃っていることを確認して移動する。

<豆腐room Dy’s>に出店は、<K&K2>、<ふぉっくす舎>、<我読故我在>http://d.hatena.ne.jp/die5/ <追分コロニー>http://www11.plala.or.jp/colony/ の4店。

あみだくじで箱の場所を決め、店番の時間を調整し、午前11時から販売スタート。スタートと同時に多くのお客様が訪れる。岡崎武志さんhttp://d.hatena.ne.jp/okatake/ もやってきて、<K&K2>さんの棚からお買い上げ。なんと、竹中労『呼び屋』を200円でGET! <K&K2>さんに、「すごい安いですね」と言うと、「祖父の遺したものなんですが、価値があるものなんですか?」とのことだったので、古書店での相場を教えると、「本当ですか!」と吃驚していた。

オヨヨ書林http://www.oyoyoshorin.com/ さんもやってきて、私の棚から2冊お買い上げいただく。今回は「くじ引き文庫」と称して、スリップにA 600円 B 400円というように2種類の値段を書いておき、くじ引きの結果で、値段が決まるという趣向。ダンボールを細長く切り、その先にA、Bを記入したというお粗末なくじだったが、<オヨヨ書林>さんも、見事、Bの安いほうを引き当てた。

実は<オヨヨ書林>さんも含めて、開店から8人連続で、安いほうを引かれてしまっていて、お客さんから「本当はサービスで、両方、安いくじなんでしょ」などと言われる始末。そんなことは、もちろんなくて、片方には、ちゃんとAを記入してあるのだが、中学(?)のときに「確率・統計」で習ったことと反してBばかり引かれる。

9人目にやっとAが引かれて、ときどきAが出るようになった頃、お客さんが、井原高忠『元祖テレビ屋大奮戦!』(文藝春秋)を持ってきた。他の本は、A、Bの差がせいぜい50円〜300円なのだが、この本だけは、A 3,000円、B 2,000円という思い切った値付けをしてある。

お客さんに、くじ引きだと念を押し、くじを引いてもらう。この瞬間は少しどきどきした。結果はA! これさえAなら、後はBでもいいと思ったと同時に、午後2時の専従スタッフ交代の時間になる。

とりあえず腹ごしらえで、前から行きたかった日本医科大学前の蕎麦屋<夢境庵>http://www2.ttcn.ne.jp/~sobasake/soba/tokyo/014.html で、蕎麦をたぐる。評判通り、美味しい蕎麦だった。

時折、小雨がぱらぱら降る中、食後のコーヒーを飲みに、「一箱古本市」の出店場所でもある<café NOMADhttp://www.yanesen.net/shop/shop/399/ に向かう。<café NOMAD>は、大混雑だったが、何とか座ることができた。しかし、お店の人たちは忙しくフル回転。テーブルを通りかかる度に、「お待たせして申し訳ありません」と声をかけてくれるので恐縮する。確かにオーダーから、コーヒーが来るまで40分ほどかかったが、この混雑なら仕方がない。

気づくと、外の雨足が強くなっている。店先の箱も閉じられ、雨から避難しているようだ。
<豆腐room Dy’s>に戻ると同時ぐらいに雨があがったが、3時に中止が決まったとのことで、撤収中だった。ここは、庇があったので、影響は少なかったが、<café NOMAD>の様子を見ると、やはり続けるのは無理だったろう。

午後7時から、近くの<不忍通りふれあい館>で、売り上げの配布と表彰式。ここで、南陀楼さんhttp://d.hatena.ne.jp/kawasusu/ の「一部屋古本市」でお会いした<四谷書房>さんhttp://yotsuya.exblog.jp/ や、退屈男さんhttp://taikutujin.exblog.jp/ にお会いすることができた。退屈男さんとはネット上のお付き合いは長いのだが、お会いするのは初めて。お気に入りの古本屋さんの写真を収めたアルバムを見せてもらう。「大山のブックメイトいいんですよ〜」とのことなので、近いうちに行きたい。

<ふぉっくす舎>の売り上げは36冊で16,650円也。まずまずといったところだろう。嬉しかったのは、同じ出店場所の<追分コロニー>さんが、「岡崎武志賞」を受賞したこと。<追分コロニー>さんの箱は「みどりの日にちなんだ[みどりの本箱]には……身近な自然、蝶やトンボなどの昆虫、野鳥や、草花・樹木、森などの様々なみどりな本たち!」といった自然にあふれた素晴らしいものだった。私たちの売場がチームワークよくできたのも、<追分コロニー>さん夫婦のあたたかい人柄によるものだったので、わがことのように嬉しい。旦那様には一手にスタンプラリーのスタンプ押しを引き受けていただいた。

<追分コロニー>さんは、秋には軽井沢に実店舗を開店されるという。きっと、素晴らしいお店になるだろう。何をおいても駆けつけたい。

こんなに楽しい一日が過ごせて、実行委員、スタッフ、店主、お客様、全ての「一箱古本市」に関わった人に感謝だ。来年の開催も決まった。今からワクワクしている。

売れた本のリストをあげておこう。最後のA(高値)、B(安値)がくじ引きの結果。こうしてみると、なかなか素敵なリストになっている(?)。野坂と吉行が4冊ずつで売り上げトップ。くじ引きはAが12冊、Bが24冊と大幅な負け越し。お客様にとってはいい結果となったのかも。

池島信平『雑誌記者』(文春文庫) B
山口瞳『青春の志について』(集英社文庫) B
金井美恵子『あかるい部屋のなかで』(福武文庫) B
野坂昭如『受胎旅行』(角川文庫) B
野坂昭如『真夜中のマリア』(角川文庫) B
野坂昭如エロ事師たち』(文藝春秋) B
野坂昭如『雑文の目 2』(ケイブンシャ文庫) B
開高健ベトナム戦記』(朝日文庫) B
遠藤周作『作家の日記』(福武文庫) B
小林信彦怪人オヨヨ大統領』(角川文庫) B
小林信彦『笑学百科』(新潮文庫) B
小林信彦『喜劇人に花束を』(新潮文庫) A
赤瀬川原平『じろじろ日記』(ちくま文庫) B
赤瀬川原平『いまやアクションあるのみ』(読売新聞社) B
色川武大『離婚』(文藝春秋) B
吉田司『ニッポンの舞台裏』(文藝春秋) B
吉行淳之介『私の文学放浪』(講談社文庫) B
吉行淳之介『軽薄のすすめ』(新潮文庫) A
吉行淳之介『恐怖対談』(新潮文庫) A
吉行淳之介『ぼくふう人生ノート』(集英社文庫) A
『本屋さん読本』(本の雑誌社) A
『性の根源へ』(講談社文芸文庫) A
根本敬『因果鉄道の旅』(ワニの本) B
森伸之『東京女子高制服図鑑』(弓立社) B
目黒孝二『本の雑誌風雲録』(本の雑誌社) A
井原高忠『元祖テレビ屋大奮戦!』(文藝春秋) A
寺山修司『花嫁化鳥』(中公文庫) A
亀和田武『1963年のルイジアナママ』(徳間文庫) B
田口久美子『書店風雲録』(本の雑誌社) B
津田海太郎『本はどのように消えてゆくのか』(晶文社) B
『銀座ショートショート』(旺文社文庫) B
谷川俊太郎の33の質問』(ちくま文庫) A
黒澤明集成2』(キネマ旬報社) A
山口昌男週刊本 流行論』(朝日出版社) B
藤森照信『建築探偵雨天決行』(朝日文庫) B
糸井重里『ペンギニストは眠らない』(角川文庫)