向井さんのトークを満喫する

朝、起きて、冷蔵庫を覗くと、挽肉があったので、ホールトマト缶を使いスパゲティ・ミートソースを作った。

古本酒場コクテイルhttp://koenji-cocktail.com/ の「一箱古本市」に参加するため、バスに乗り、阿佐ヶ谷経由で高円寺へ向かう。

コクテイル>に到着すると、既に<旅猫雑貨店> http://tabineko.seesaa.net/ さん と<森茉莉かい堂をゆく> http://blog.livedoor.jp/chiwami403/のちわみさんが来ていて、設営中。このお二人は、昨年4月の「不忍ブックストリート一箱古本市http://sbs.yanesen.org/ でも<オヨヨ書林http://www.oyoyoshorin.com/ 前で隣同士だったはず。

旅猫さんが出品の子母澤寛の『愛猿記』(新潮文庫)について、お二人が「この本、泣けるのよね」と語り合っている隣で、値付けおよび箱に本を入れる作業を行う。

お二人の箱を覗かせてもらう。いい本がたくさんあって、しかも安い。翻って、自分の本は、<ハートランド>で売れ残った本から、無造作に鞄に詰めてきたもの。この<古本市>に来る人は、一般の人というよりは、古書好きの人が多いはずだから、「これは売れない」と覚悟する。値を下げようかとも思ったが、面倒でそれさえやらず。

ちわみさんからは、<世田谷文学館>で開催されている「花森安治と『暮らしの手帖』展」http://www.setabun.or.jp/kurashinotecho.htm の感想などをうかがう。

午後2時からのイベント「『早稲田古本屋日録』(右文書院)出版記念トークショー」まで1時間半ほどあるので阿佐ヶ谷に向かう。岡崎武志さんの『気まぐれ古書店紀行』(工作舎)書き込みの「2005年現在 阿佐ヶ谷古本新地図」の古本屋をまわってみることにする。

まずは、新しい店の<風船舎>から。しかし、正午は過ぎているので大丈夫かと思ったが、シャッターが閉まっていた。結局、<ゆたか。書房><石田書房>も開店前。開いていたのは、<銀星舎><今井書店><千章堂>。<銀船舎>は、新しい店のようで、品揃えもいいし、自分好みの店。川本三郎『私の東京町歩き』(ちくま文庫)300円を買う。<今井書店>では、矢野誠一『さらば愛しき藝人たち』(文春文庫)150円、<千章堂>では、吉村昭羆嵐』(新潮文庫)100円を買う。

電車を待つ阿佐ヶ谷駅のホームのベンチで『私の東京町歩き』を読む。この本の冒頭は、阿佐ヶ谷の話。阿佐ヶ谷で阿佐ヶ谷のことを読む。こういうのが好きなのだ。

コクテイル>に戻ると、岡崎武志さん http://d.hatena.ne.jp/okatake/ がいらっしゃっていたので、持っていた『気まぐれ古書店紀行』(工作舎)にサインをお願いする。似顔絵まで描いてくれる。「サービスで2割増にしといたよ」とのこと。確かに実物より男前である。「4月の『一箱古本市』は、また面白いことやるの?」とも言っていただく。昨年の「古本市」のときには、「マドアキ文庫」を「チラリズムがいいね」と声をかけてくれたのだ。

2時になり、「『早稲田古本屋日録』出版記念 向井透史トークショー」がスタート。第一部は<書肆アクセスhttp://www.bekkoame.ne.jp/~much/access/shop/ 店長の畠中理恵子さん、第2部はイラストレーターの浅生ハルミンさん http://kikitodd.exblog.jp/トークのお相手で、向井さんが古本屋になるまでの話や、柔道をやっていた中高時代の話、出版された本の話などを聞く。

トークの最初に、畠中さんが、「横浜の山下町で生まれた」と言うが、そのすぐ後に「間違えた!」とのことで、自分の生まれたところを間違える畠中さんのお茶目(?)さに、会場は、楽しいムードに包まれ、そのままのムードで最後まで進んだ。

向井さんが小さい頃、<古書現世>は石立鉄夫主演のドラマ「気まぐれ天使」のドラマのロケに使われていた(石立鉄夫は<古書現世>の2階に住んでいる設定)とのこと。ここでも、畠中さんは、榊原るみのことを榊原郁恵と言い、会場を盛り上げていた。「気まぐれ天使」は現在、CATVで放映中で、わが家でも見られるので、今度、見てみたい。

浅生ハルミンさんの話で興味深かったのは、『私は猫ストーカー』(洋泉社)を書いたのは、平出隆の『猫の客』(河出書房新社)を読んだのがきっかけだったというところ。私も大好きな小説だ。確か、まだ文庫になっていないのではないだろうか。ちなみに『私は猫ストーカー』は、amazonで、「猫部門売り上げ3位」「ストーカー部門売り上げ1位」とのこと。

向井さんのサービス精神満開のトークも楽しく終了し、ちゃっかり『古書現世店番日録』、『私は猫ストーカー』に向井さんと浅生さんのサインをもらい、<コクテイル>をあとにする。

阿佐ヶ谷に出て、昼間閉まっていた3軒を廻る。<風船舎>は、<コクテイル>で岡崎さんが言っていたのだが、本当に品揃えがいいお店だった。川本三郎『ハリウッドの神話学』(ちくま文庫)250円を買う。<ゆたか。書房>では、安水稔和編著『若い人のための現代詩 小野十三郎』(教養文庫)500円、反町茂雄『一古書肆の思い出1 修業時代』(平凡社ライブラリー)500円を買う。<石田書房>では、『キネマ旬報 2月下旬2005年ベストテン号』800円を買う。

阿佐ヶ谷から、杉並区のコミュニティバス<すぎまる君>で浜田山に向かう。バスの中で、『古書現世店番日録』を読み、たちまち引き込まれる。

浜田山で<パラディ>に寄り、丸谷才一編『遊びなのか学問か』(新潮社)300円を買う。<ブックオフ>が、単行本500円均一セール中だったので、フランク・マコート『アンジェラの祈り』(新潮社)、小谷野敦『退屈論』(弘文堂)、『反=文藝評論 文壇を遠く離れて』(新曜社)を買う。他に小沢昭一『わた史発掘』、『もうひと花』(文春文庫)をそれぞれ105円で買う。

<南国食堂ぶら>で脂ののったクエの刺身などを食べて、井の頭線で帰宅した。