<あうん堂本舗>は素敵な古本カフェだった 金沢2日目

foxsya2009-07-27

朝、起きて、ホテルの周囲を4キロほど走る。何となく金沢の地理をつかむためでもある。<南陽堂書店>を発見。浅野川大橋を渡って、ぐるっと一廻り。走るのは5月の駅伝以来か。走らなくても、右足の踵が痛くて、生活に支障があるほどだった。ビジネスシューズに踵負担を軽減するインソールをつけて、3週間ぐらい。随分、楽になったので走ってみたのだ。

ホテルに帰ると、フロントから電話。仕事関係の外線。「今日の予定は?」と訊かれたので、「古本屋を廻るつもり」と答えると、車で最初のお店まで運んでくれるという。チェックアウトして、一仕事済ませて、まず今晩泊まる宿まで運んでもらい、荷物を預ける。その後、浅野川大橋まで。

岡崎さんが「彷書月刊」で、橋を渡って、すぐ左の脇道をずっと歩いていくと書いていたので、その通りに歩き、目指す古本カフェ<あうん堂本舗>http://www.aun-do.info/ に到着。ここはかなり素敵なお店だった。内装やインテリアが自分の趣味にぴったり。本のセレクトもいい。岡崎さんは、世田谷文学館で「宮脇俊三展」を見た後で、「たくさんのふしぎ」の宮脇俊三青函連絡船物語』を買っていたが、自分も最近行った世田谷文学館つながりで、堀内誠一が絵を描いている「たくさんのふしぎ」の『どうくつをたんけんする』と『音楽だいすき』を買う。他に竜胆寺雄『放浪時代/アパアトの女たちと僕と』(講談社文芸文庫)、田宮虎彦足摺岬』(講談社文芸文庫)、小沢信男『裸の大将一代記』(ちくま文庫)、松山俊太郎『小栗虫太郎』(国書刊行会)、現代詩文庫から『藤井貞和詩集』、『嵯峨信之詩集』、『新選石原吉郎詩集』(思潮社)、星新一編訳『アシモフの雑学コレクション』(新潮文庫)。

ご主人が、「こんなに買ってくださってありがとうございます」と、会計をしながら、お店の説明をしてくれる。沢野ひとしさん、平野甲賀さんらの作品展示やトークなどのイベントも行っているとのこと。確かに、何かイベントをやらないと勿体ないような空間だ。「植草甚一さんのときには、晶文社の営業の方にお世話になって」というので、「高橋さんですか?」と訊くと、「ご存知ですか」というわけで、その後、話に華が咲く。

これから、金沢市中心部の古本屋を廻ると言うと、石川の組合が作っているMAPに、現在、営業している店に丸をつけてくれる。地図には10店舗載っているが、移転が1軒(岡崎さんが書いていた<Duckbill>)、お店を閉められたのが3軒で、残りが6軒。店主の高齢化などの影響だとのこと。ご主人の頑張りぶりを聞いていると、何か<火星の庭http://kaseinoniwa.com/index.html の前野さんの頑張りぶりに重なるような。

金沢に来るときは必ず寄りたいお店になった。ご主人は、「高遠ブックフェスティバル」にも行かれるそうで、角田光代さんのトークの申し込みをしたばかり。古本で商売するのがますます難しくなる時代だろうが、ご主人の頑張りを聞くと、何か安心感さえ感じる。優しさあふれる人柄のゆえか、頑張りといっても、力みのない力の抜けた自然体の感じ。

南陽堂書店>に寄る。ここは、黒っぽい本が山と積まれる、工作舎の石原さん的分類によれば「秘境店」に分類されるお店。思潮社の現代詩文庫の『中江俊夫集』を買う。会計のときに、「そのままでいいです」というも、帳場のご主人が「いえいえ」と言うので、何をするのかと思ったら、掃除機で、本についたほこりを吸い取ってくれた。

<近八書房>は整理の行き届いた綺麗なお店。森須滋郎『食卓のマジック』(新潮社)を買う。ここまでは歩き。

駅そばのレンタカー屋さんで自転車を借りる。これも岡崎さんのアドバイス通り。今回は「彷書月刊」2008年11月号の「均一小僧の気まぐれ古書店紀行」を大活用だ。

ママチャリはあまり乗りなれていないので、最初、おっかなびっくり安定悪くペダルをこぎだすものの、そのうち慣れてきて、<金沢文圃閣>を目指す。お店の入り口に、店主は近くで作業中、御用のときは呼んでくださいというような貼り紙がある。店に入って、本を見させてもらう。会計のときに、声をかければいいだろう。昨日はそうでもなかったが、今日の金沢は暑く、本を見ていると体中からどっと汗が噴き出してくる。人の気配を感じたのか、ご主人が現れ、窓を何箇所か開けてくれた。これで風通しがよくなり、随分、楽になった。

今井金吾『半七捕物帖江戸めぐり』、小沢信男『犯罪百話 昭和編』(ちくま文庫)、矢野誠一『落語手帖』(講談社α文庫)、現代詩文庫の『安東次男詩集』、『天沢退二郎詩集』(思潮社)をつかんで、「すいません」と大きな声を出すも、ご主人は現れない。さて、どう呼ぼうかと思案していると、帳場の上の電話の内線2を押せという貼り紙があった。内線をかけると、予想に反して女性の声。現れたのは、奥様だろうか、若くて綺麗な方だった(こういうことを書くと、そいう形容詞が余計と、主に女性から文句を言われるが、書きたいのだから仕方がない。こういうのも一種のセクハラなのだろうか)。

次に寄ったのは、<明治堂書店>。幅広い品揃えで本の量も多い。棚の本のほとんどに綺麗にグラシン紙がかけられている。だが、棚と棚の間には未整理本が山積みで、どんどん空きスペースを侵食してきている感じ。ここでは、大塚康夫『ジープが町にやってきた』(平凡社ライブラリー)、永井龍雄『一個/秋その他』(講談社文芸文庫)を買う。

明治堂書店を目指すが、なかなか見つからない。地図を確認してみると、通り過ぎてしまったようだ。気付かず、通り過ぎたということは、閉まっていたのだろうかと思って、戻ってみると、案の定、「5日間お休みします」の貼り紙が。残念だが、廻れるとこは廻ったので、兼六園そばの宿を目指す。


宿でチェックインを済ませ、自転車を駅まで帰しに行こうかと思うと、外は豪雨。買った本を持っているときじゃなくて良かった。ずぶ濡れになって自転車を買いに行く。

明日は、<ブックオフ>を廻る予定。

▼わめぞイベント

◎「外、行く?」 第16回 古書往来座外市 〜軒下の古本縁日〜
2009年9月5日(土)〜6日(日)

会場:古書往来座外壁  ゲストは中野新橋の2店舗! 古書猫額洞さんと伊呂波文庫さん!

▼それ以外のイベント

浅生ハルミンさん原作の映画「私は猫ストーカー」絶賛上映中
http://nekostalker.jp/

(書きかけ つづく)