<善行堂>詣で

foxsya2009-06-21

「わめぞ」の皆は北へ。私は西へ。

昨日は会議のようなものが2つ。最近、理系の人のPPTを使ったプレゼンのようなものを聞く機会が多いのだが、我々が普通、イラストというものを「ポンチ絵」と表現するのが普通のようだ。もともとは漫画っぽい絵のことを表現する古い言葉だと思うが、「ポンチ絵」という言葉を使わねば、理系にあらずという感じ。今日も、レーザーポインターで図を指しながら、「『ポンチ絵』にしてみました」発言が出た(ワードも「ぽんちえ」で一発変換だ)。

2つ目の会議は1時間ぐらいで終わると予想して、かなり余裕をもって、4時10分新幹線の切符をとっていたのだが、三田線で大手町の駅に着いたのが4時ジャスト。焦って、走る(まあ、遅れたら後の自由席でいいわけだが)。新幹線に飛び乗ったと同時に扉がしまった感じ。汗がだらだらでワイシャツがびっしょり。

京都に着いて、ホテルにチェックインして、早速、風呂に入り、汗を流す。阪神戦でも見るかと、テレビをつけるもどこでも放送していない。サンテレビが映らないということか。関西にいて、阪神戦が見られないとは… もっともこの日の相手は、パ・リーグで応援している楽天。しかも、今日の楽天の先発は、その中でも特に応援している好漢・永井(イケメンともいう)。この相手で投手だと、阪神を応援する気持も微妙なところなので、今日は見られなくてよかったか。しかし、巷の阪神ファンの間では、真弓バッシングがすごいというが、ちょっと弱いとすぐこれだ。しかも、弱い戦力でなかなかの成績をあげている野村監督に「カムバック」を叫ぶファンもいるなんていうのは、何をか言わんやだ。はあ…。

近くの居酒屋兼ラーメン屋のような店で夕食。隣は家族連れ。若い両親。父親が大きな声で携帯電話で会話を。「おやじの顔に泥塗るわけにはいかん。へたうってもいかんし、兄貴には何て言うつもりや」などなど。関西に来たなあと実感し、夜は更けていく。

明けて今日の午後、国際会館での仕事を終えた。古本屋を廻りたいところだが、時間がない。まずは叡山鉄道の窓に向かっているシートに座り(ここに座りたかった)、一乗寺まで行き、<けいぶん社>初体験。確かにいい本屋だ。ちょっと東京にはないタイプの店で、広さも贅沢だ。一廻りじっくり見る。もっと衝動買いみたいな感じでいっぱい買ってしまうかと思ったが、そんなことはなかった。この本はあるだろうなという感じで、予想を裏切るような本がないセレクトで、持っている本が多く、あまり買えなかったというところか。とはいえ、当然、平積みの新刊はいいものが並んでいて、既に買ってしまったもの、読んでしまったものも多かったが、近くにこんな店があったら、しょっちゅう寄って、買ってしまうだろう(『1Q84』が残っていて、誰も手に取らない様子も落ち着いた客層といった雰囲気。若者が「売れているから」と飛びつくのも嫌だが、某大学の生協の平積みが一冊も減らないのも、「少しは活字を読めよ!」と言いたくなる)。

ガーネット『狐になった奥様』(岩波文庫)、シャーリー・ジャクスン『ずっとお城で暮らしている』(創元推理文庫)、『小さなビオトープを楽しむ本』(エイ出版)、CD3枚、、<トンビコーヒー>の豆を買う。

一乗寺駅まで戻り、元田中駅へ。まったく土地勘のない土地だけに、地図と首っ引きで歩く。それでも間違った道を歩いているのではないかと不安。京都大学を見つけ一安心。しかし、歩けども歩けども、目的のお店は見えてこない。いくらなんでも、もうすぐだろう、まさか、過ぎてしまったのかと思ったところに、青い日除けに描かれた<善行堂>の白地の文字が見えた!

そう、せっかく京都に来たので、7月5日オープンの<善行堂>の様子を見に来たのだ。山本さんhttp://d.hatena.ne.jp/zenkoh/ はお店の2階スペースで本の整理中だった。「今日、暑いでしょう」と労ってもらう。京都だから東京より暑いのは仕方ないと思っていたが、今日は京都でも特別に暑かったという。1階に並ぶ予定の本棚はまだ入っていなかったが、新たにつけた木の格子の扉ががいい。まだ何もないコンパクトな空間だが、あの塩山さんが「山本善行、格好よすぎる!」と嫉妬(?)していたセンスの良さで、山本さんらしい素敵な店になりそうな予感。

日除けのカラーリングや、<善行堂>の文字は全て奥様の手によるもの。「とても、そんなとこまで手がまわらないから、全部任せました」というものの、店のシンボルとしてこれ以上ない仕上がり。「近くに竹岡書店もあるし、<ヴィレッジ・バンガード>に勤めていた若者が独立して、本と雑貨の店を開くようだし、どんどん本好きが喜ぶ店が増えると嬉しいね」と山本さん。現在は飲食店である隣は、山本さんが若かりし頃、足しげく通った古本屋があったところ。そんな思い出もあって、店舗の場所をここに決めた。

「本の重みで、いよいよ家がやばくなったこともお店を出そうと思ったきっかけ」と冗談めかして話す山本さんだが、3年前ぐらいの自分も築50年の家の崩壊の可能性が冗談ですまなかった。「家族は家から本が減るから喜んでます。もっと、本を売ってしまうことに抵抗があるかと思ったけれど、意外とそうでもないんですよ。だけど、この本も売ってしまうと思うと、おのずと読書にも力が入るし、真剣になります」と。「将来、書きたいテーマのものは資料として、残しておくけれど」と付け加えてくれた。

オープンまで2週間だが、この状態で間に合うのかと少し、心配になるが、「完璧にはいかないかもしれないけれど、並べられるところまで、並べてオープンしてしまいます」とのこと。6月の終わりの「書窓展」のために東京に来るかもしれないそうだ。「東京でも宣伝お願いします」と頼まれた。このブログに載せることが宣伝になるかは心もとないが、声を大にして言おう。「素敵なお店になりそうですよ!!」。自分も、開店後、本も並んで落ち着いた頃に是非来たい。8月になってしまうかな。

バスで京都駅まで行き、新幹線に乗り帰宅。怪我した指がズキズキと痛む。金曜か土曜に病院に来るよう言われたが、仕事の都合で無理だということで、何とか「まあ、月曜でもいいでしょう」との医者の言葉を引き出しのだ。そう悪いことにはなっていないと思うが、明日は病院へ寄ってから仕事だ。

※山本さんは、もっと関西らしい言葉で話していたが、私が再現すると、嘘くさいものになりそうなので、割り切って標準語で書かせていただいた。

▼わめぞイベント
◎2009年7月4日(土)〜5日(日)第15回 古書往来座外市」〜軒下の古本・雑貨縁日〜
 http://d.hatena.ne.jp/wamezo/

▼その他のイベント
◎2009年6月29日(月) 『私は猫ストーカー』特別上映会 不忍ブックストリート+スローラーナー Presents 
イラストレータ浅生ハルミンのエッセイを原作に、主人公ハルと、それをとりまく人々、そして、すれちがう猫の姿を描いたユーモラスで、ちょっぴり切ない傑作。谷中・根津・千駄木のあちこちでロケし、地元の猫がたくさん出演する『私は猫ストーカー』(7/4よりシネマート新宿にてロードショー/配給:スローラーナー)を、公開前に地元の皆様にお目にかけます。
開場18:00 開映18:30 会場 不忍通りふれあい館 地下1階ホール 文京区根津2-20-7 参加費 500円(カンパ) 予約優先
※全席自由。DVDによる上映です 上映後、鈴木卓爾さん(監督)、浅生ハルミンさん(原作)、南陀楼綾繁さん(不忍ブックストリート)によるトークがあります
主催 不忍ブックストリート http://sbs.yanesen.org/ スローラーナー http://d.hatena.ne.jp/slowlearner_m/ 公式HP◎ http://nekostalker.jp/
予約・問合せ先 電話 03-3770-3717(スローラーナー)土、日、祝日休  shinobazu@yanesen.org(不忍ブックストリート

◎2009年7月1日(水) 『私は猫ストーカー』映画化記念 浅生ハルミンさん×鈴木卓爾さん×越川道夫さん トークセッション「映画と猫と古本と」
開場:18:00〜 開始:18:30〜

【会場】 三省堂書店神保町本店 8階特設会場
参加ご希望のお客様先着50名様に整理券を配布しております。尚、当日参加費として500円いただきます。トークセッション終了後サイン会を行います。※要予約

【お問い合わせ】三省堂書店神保町本店 4階 03-3233-3312(代) 10:00〜20:00

◎2009年7月4日(土) 嵐山光三郎先生「旅するノラ猫」(筑摩書房石田千先生「きんぴら ふねふね」(平凡社)出版記念 「師弟対談クワトロ」
開場14:45 開演15:00 会場 東京堂書店 神田本店6階 参加費500円
要予約。参加費500円 電話または、メール(tokyodosyoten@nifty.com)にて、件名「嵐山先生石田先生イベント希望」・お名前・お電話番号・参加人数、をお知らせ下さい。7月3日以降は、お電話にてお問合せください。 電話 03−3291−5181