「味噌汁」に涙、またはウサリン主役を食う
仕事を終えて、春日から大江戸線で清澄白河まで。<深川いっぷく>で、リコシェhttp://d.hatena.ne.jp/kiribari-mameko/ 主催で<日月堂>の紙ものが販売されているのだが、会期中に古本市などのイベントも同時に行われる。今日は、「“Pippoの古本J君とゆこう!”Live tour〜日月堂:深川いっぷく篇〜+ピッポとオカタケさんのおすすめポエムショー」が開催されるのだ。
Pippoさんhttp://blog.livedoor.jp/pipponpippon/ のライブはまさにファンタジック! しかし、私の眼はどうしてもサポートの巨大ウサギのウサリン(華麗なるギターテク&ダンス?パフォーマンス)に釘付けになってしまうのだった。主役を食ってしまう存在。恐るべしウサリンパフォーマンス。
アンコールで唄ってくれた、新曲だという「ぐるり夏みかん」がとてもよかった。これはいい曲です。
また、竹内浩三の詩「よく生きてきたと思う」を朗読してくれたのだが、普段、会話しているときとも、歌声とも違う、透明感のある、個性的な美声で、Pippoさんの新たな一面を知る。この声を聴いて、誰だと思うと訊かれても、Pippoさんとは思わないよ。素晴らしい。
岡崎武志さんhttp://d.hatena.ne.jp/okatake/ とPippoさんのトークショーは、2人が詩と出会ってからの詩とのかかわりを話しながら、詩の朗読が挟み込まれるというもの。最近、詩に興味があるものの、どっからとりかかっていいのか全くわからないので、このトークを大いに参考にさせてもらおうと意気込んで聴く。朗読された詩が収録されている詩集ぐらいは読んでみようとメモをとった。朗読された詩は以下の通り(PはPippoさん、Oは岡崎さん)
萩原朔太郎「こころ」(P)
谷川俊太郎「絵」(O)
荒川洋治「醜仮蘆(しきかりいお)」(O)
室生犀星「あひたきひと」(P)
辻征夫「落日〜対話篇」(O)
中桐雅夫「アイスランド・ポピー」(O)
中江俊夫「愛のうた」(P)
金子彰子「二月十四日」(O)
中野鈴子「味噌汁」(P)
竹中郁「二年前の日記」(P)
レイモンド・カーヴァー「テスに」(O)
W・C・ウィリアムズ「あの、ちょっと」(O)
ヘルマン・ヘッセ「けれども」(P)
朗読の最中は目をつぶって聴いていたのだが、中野鈴子の「味噌汁」では、思わず涙ぐんでしまう。涙腺弱し、この詩で泣くなんて、わかりやすい自分。Pippoさんが、岡崎さんの日記の一部を「詩」として朗読。2003年7月13日の日記で以下のようなもの。
今日は妻が仕事。
娘がひとり、家で留守番しているので急いで帰る。
日曜日、ずっと家にいるので、「どこかへ行くか」と誘うと「ブックオフ」と娘はいう。
可哀想に、どこへも連れていってやらないので、ほかに楽しいところあるの、知らないのだ。
わかった、ブックオフへ。
これも目をつぶって聴いたが、確かに詩として耳に入ってきた。『風来坊』という詩集(スムース文庫)もある岡崎さんだけに、日記にはまだまだ詩的フレーズが隠れていそう。「風来坊」も、岡崎さんに内緒でPippoさんが抜き打ちで紹介。岡崎さん、慌てていた。
最後に谷川俊太郎「息」に岡崎さんが曲をつけたものを2人が唄う。これがなかなか素敵なメロディーで耳に残る。トークが終わってからも、無意識に口ずさんでいる自分に気づいた。谷川俊太郎は、私の出身高校の大先輩。卒業式では、谷川俊太郎がそのために作ってくれた「あなたに」という詩を卒業生がワンフレーズずつ朗読するのが恒例。「あなたに燃えさかる火のイメージを贈る」で始まる詩の部分部分は記憶しているのだが、自分がどこを読んだのかは全く憶えていない。もしかしたら、ワンフレーズずつではなく、全員で朗読するような形だったろうか。
ライブからトークまで充実したイベントだった。今日の聴衆は皆、満足しただろう。是非、岡崎さんとPippoさんには、また詩についてのトーク&朗読をやってほしい。とりあえず、今日、取り上げられた詩人や、Pippoさんが大好きだという中江俊夫や安水稔和を読んでみよう。2人の朗読の影響か、黙読ではなく、声を出して読みたい気分。
店内で行われていた古本市で以下を購入。
星新一『きまぐれ体験紀行』(新潮文庫)
レイ・ブラッドベリ『火星の笛吹き』(ちくま文庫)
吉行淳之介『変った種族研究』(新潮文庫)
中野晴行『球団消滅幻の優勝チーム・ロビンスと田村駒治郎』(ちくま文庫)
古本市に出品していた<SMOKE BOOKS>さんhttp://smokebooks.com/ は、古本の移動販売を行っているそうだ。<いっぷく>の前に停めてあるTN-7という素敵な車を使っているらしい。雨が降っていたので、店開きしていなかったが、イベント後に晴れたので、開店してもらった。
TN-7http://smokebooks.com/0engine/tokyo_bbs.cgi は、二輪車を作っていたホンダ初の四輪車らしい。40年前の車。高速に乗るのは怖いということで、出張先は高速に乗らないで行けるところに限られるとか。軽自動車で場所をとらないので、ちょっとした空きスペースがあるイベントには出動可能。
近くの中華料理屋で打ち上げ。安くて美味しい。メンバーは、岡崎さん、Pippoさん、カヒロさん、退屈君http://taikutujin.exblog.jp/ 、コウノちゃん、イベント主催の豆ちゃん。イベントには、か猫さんhttp://tabineko.seesaa.net/ も来て、写真をいっぱい撮っていた。素敵な写真が撮れたんじゃないだろうか。
二人から更に詩の話を聞いたり、豆ちゃんの面白話がいつものように炸裂したり。病み上がりのせいか、酒がまわるのが早いような気がする。ウーロンハイの焼酎が濃いせいか。そういう意味でも良心的な店。
豊崎由美『勝てる読書 14歳の世渡り術』(河出書房新社)を読了。海外文学の紹介が豊富で嬉しい。「こんなにも面白い海外文学を読んでほしい!」 というトヨザキ社長の熱い思いが伝わってくる。重松清はしばらく読んでいないのだが(『流星ワゴン』が最後か)、本棚にある『きみの友だち』が読みたくなった。
- 作者: 豊崎由美
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
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- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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わめぞイベント
◎第3回 月の湯古本まつり 4月4日(土)
銭湯で古本浴! 定休日の銭湯にてズラリ4000冊を販売!
会場 月の湯(文京区目白台)http://tsukinoyu.seesaa.net/category/5336436-1.html
http://d.hatena.ne.jp/wamezo/20090114
◎ワメトーク vol.4 「エロ漫画の黄金時代(仮)」刊行記念」トークショー
嫌われ者の記場外乱闘篇〜本当は愛されて死にたい奴らの90分1本勝負〜+Pippo の‘古本J君とゆこう Spring Tour 2009 ミニライブ付き
4月12日(日)/16時〜18時(開場15時30分)
会場 上り屋敷会館 2階座敷 東京都豊島区西池袋2-2-15 ※JR目白駅、池袋駅西口より徒歩10分
http://d.hatena.ne.jp/wamezo/20090210
参加料 1000円 定員40人
”商店街が、一日だけの古本街!”
4月25日(土) 雨天順延26日(日)この日が雨の場合は中止
http://d.hatena.ne.jp/wamezo/20090114
◎BOOK! BOOK! Sendai × わめぞ from 東京 コラボイベント 古本縁日 in 仙台 〜「わめぞ」の古本・雑貨市〜
■日時 2009年6月20日(土)・21日(日)営業時間など詳細は後日発表
■会場 book cafe 火星の庭 http://www.kaseinoniwa.com/ 書本&cafe magellan(マゼラン) http://magellan.shop-pro.jp/
BOOK! BOOK! Sendai http://bookbooksendai.com/ わめぞ http://d.hatena.ne.jp/wamezo/
◎武藤良子個展 6月11日(木)〜29日(月) 会場・火星の庭
その他のイベント
◎第8回 不忍ブックストリートの一箱古本市
5月3日(日祝)& 4日(月祝) 11時〜16時(両日とも)*雨天決行
店主と助っ人募集中 http://d.hatena.ne.jp/shinobazukun/