あの本は『ずっとお城でくらしてる』です

foxsya2008-12-19

神宮に大学野球を見に行ったり、川越出張の帰りに念願の武藤さんhttp://d.hatena.ne.jp/mr1016/ お薦めの<かえる食堂>http://kaeru.jpn.org/index.html のカレーデビューをしてから<古書 往来座http://ouraiza.exblog.jp/に顔を出したり、「書評のメルマガhttp://back.shohyoumaga.net/ の原稿を書いたり、誘っていただいて神田明神下で河豚を食べたり、久しぶりにアイスホッケーの試合を見に行ったり、もちろん、仕事も黙々とこなし、11月も終わりになるのであった。そして、わめぞの新イベントの「みちくさ市」があったり、ある祝賀会に出て、タイガースの桧山をはじめとするプロ野球選手たちに会ったりと、書くこともいろいろあるが、このぺースでは、ブログの更新が追いつかない。武藤さんから、「ブログの更新おせえんだよ〜 今頃、駅伝のことなんか載せてんじゃね〜」と言われたからというわけでもないのだが、いきなり現在に跳ぶのであった。

仕事を終え、急いで神保町まで。近代ナリコさんと浅生ハルミンさんhttp://kikitodd.exblog.jp/トークショー。閉店後の三省堂店内でという珍しい試み。「彷書月刊」連載の2人の『読書クラブ』刊行記念。4階の映画コーナーの棚を一部動かし(ご苦労様です)、ちょっとしたイベントコーナーに。始まるまで、周囲の棚を眺めるが、なかなか面白そうな本がある。この一角にはあまり来ないのだが、今度ゆっくり来てみよう。

お2人のトークは、ポンポンとテンポよくという感じではなく、話題を探しながらゆっくり。キャラクターに合っていていい雰囲気。近代さんの書くものは読んでいるが、ご本人を見るのも、話しを聞くのも初めて。とても魅力的な人だった。

2人のお薦め猫本を紹介してくれたが、近代さんの紹介の仕方がうまく、読みたいと思わせる。周囲の人が、皆、著者名をメモしていた。だが、肝心の書名が出てこず、帰ってから検索して調べる人が出るかも。あれは、シャーリー・ジャクスンの『ずっとお城でくらしてる』(創元推理文庫)だ。訳文が素敵だと近代さんが言っていた。新訳だと思うので、近いうちに読んでみよう。

早川の異色作家短編集の『くじ』とか『山荘綺談』なんかが有名なホラータッチの作品が多い著者なので、近代さんがジャクスンの本を薦めたのは意外。また、お2人とも、あまりミステリ・SFの類は読まないそうだが、それぞれ「シュレディンガーの猫」関連の本も紹介。SFファンにはお馴染みの概念だが、ハルミンさんは多元宇宙(パラレルワールド)のことを考えると、わけがわからなくなり頭の中が変になりそうになるらしい。

最後に、あらかじめ回収された質問用紙に答えてくれる。近代さんへの「料理に関する本を編纂したり書いたりする予定はありませんか」という質問は自分が書いたもの。「モダンジュース」の料理本特集が好きだったので訊いてみたのだ。「ある出版社から料理についての本を出す予定で進めていたが、ぽしゃった」とのこと。勿体ない。近代さんも言っていたが、どこか他の出版社で実現しないものだろうか。

2月にハルミンさんの新刊エッセイが晶文社から出るという嬉しい告知でトークは終了。それにしても、『帰ってきた猫ストーカー』(洋泉社)も含めて半年で3冊か。すごい! 晶文社本のタイトルは『猫座の女の生活と意見』。なかなか素敵なタイトルだ。

トーク終了後は、お2人に持参した『読書クラブ』にサインしてもらう。事前に購入していた人も多く、三省堂ではあまり売れなかったかもしれないが、できたら、4階のあのコーナーを使ったトークが定期化されるといいと思う。楽しい話を聞く機会を設けてくれた三省堂書店のスタッフにも感謝。

喉も乾いていたので、トークに来ていた武藤さんに「ビールでも飲みに行こう」と誘うと、「和民とか、その手の居酒屋行くと、どうせ際限なくなって、電車がなくなるから嫌だ。アンチがいい」と言うので、武藤さん、豆ちゃん、http://www.ricochet-books.net/ 退屈君、http://taikutujin.exblog.jp/ コウノさん、雑司がやんのUさん、K書店のOさんと<アンチヘブリンガン>に行く。

飲みながら、作りかけの武藤さんのミニコミを見せてもらう(30日のコミケで発売!)。銭湯について書いたもの。かなり面白そう。文章で悩みまくっているらしく「おいらは、これまでまったく文章書いてこなかったから基本的なことが分かんないんだよ。『と言う』って、漢字のときと「という」って平仮名のときの書きわけがわかんね〜」と言うので、できる範囲でアドバイスをして、「とりあえず平仮名で全部書いて、明らかに漢字がいいように思うところだけ『言う』にすれば」などと言うが、「さっぱりわかんね」。その後も、編集者と化した退屈君が一生懸命アドバイス

11時過ぎに武藤さんたちは帰っていくが、自分は飲み足りないので、残ると、豆ちゃんとUさんもつきあってくれる。今日のトークの話、古い日本映画の話、デコちゃんの話、SFの話、落語の話…、武藤さんの言うところの「際限ない」状態になっているのを自覚。明日も仕事だというのに…。

中野翠『小津ごのみ』(筑摩書房を読了。小津本では、高橋治の『絢爛たる影絵』(文春文庫)が好きなのだが、その「深読み」ぶりの指摘には納得。小津の映画には確かに性的な隠喩のようなものが皆無とはいわないが、『絢爛たる影絵』にはいくらなんでもという解釈があるのだ。もちろん、どちらが正しいかはわからないが、中野さんの読み方のほうがどう考えても素直だろう。サンデー毎日本がそろそろか…そちらも楽しみ。

小津ごのみ

小津ごのみ