美味しい晩御飯

いつもの日曜日と同じで午前中は体が動かない。うつらうつらしながらCATVの映画チャンネルの録画予約の作業。シドニー・ルメットの「セルピコ」と「狼たちの午後」など。これは、ルメットの新作が恵比寿ガーデンシネマで公開されている影響だろうか。80代半ばの歳だと思うが、新作が見られるのは嬉しい。久しぶりに恵比寿に行ってみようか。ルメットは好きな監督の一人で、著書の『メイキング・ムービー』(キネマ旬報社)も持っている。その後も作品が公開されていたとは思うが、記憶の範囲内で言えば、一番最近見たのがメラニー・グリフィス主演の「刑事エデン 追跡者」。15年以上前だろうか。邦題は明らかに「刑事ジョン・ブック 目撃者」の影響を受けている(どちらも宗教を扱っている)。その少し前のニック・ノルティが悪徳警官を演じた「Q&A」のほうが出来がよかった。

思い切って椅子から立ち上がって、五反田の「本の散歩展」に行こうと思って、腰を浮かしたところで、昨日までだったと気づく。方針転換して、古本を売っている<cafe CHUBBY>http://www.chubby.bz/ に本の補充に行くことにする。<CHUBBY>に着くと、店の一部でコラージュのワークショップ中。カウンターでスリップを書き、本に挟みこみながら、ギネスを飲む。オーナーのTさんから売り上げとスリップをもらう。売れた本は以下の通り。

寺島靖国『サニーサイド・ジャズ・カフェが選ぶ超ビギナーのためのCDガイド』(朝日文庫
君塚良一『脚本通りにはいかない!』(キネマ旬報社
犬養裕美子『外食 あたらしい教科書7』(プチグラパブリッシング
伊丹十三『ヨーロッパ退屈日記』(文春文庫)
樋口尚文砂の器日本沈没 70年代日本の超大作映画』(筑摩書房
平林和史ほか『前略 小沢健二様』(太田出版
亜樹直、オキモトシュウ『神の雫』1巻〜2巻(モーニングKC)
大塚英志藤原カムイアンラッキーヤングメン』上下(太田出版
忌野清志郎『十年ゴム消し』(六興出版)
杉浦さやかベトナムで見つけた かわいい、おいしい、安い!』(祥伝社黄金文庫
梨木香歩『春になったら苺を摘みに』(新潮社)
宮脇俊三『汽車旅12ヵ月』(新潮文庫
板井典夫『マロンのマジッククッキング―おいしい一皿ができました』(講談社
杉浦日名向子とソ連『もっとソバ屋で憩う きっと満足123店』(新潮文庫
小川糸『食堂かたつむり』(ポプラ社
森達也東京番外地』(新潮社)

オーナーのTさんから新イベントについて聞く。「公園の水を飲むことができた時代を取り戻そう!」を合言葉としたイベント「tokyo park water 2009」。その第一弾として、「オリジナルタンブラーデザイン展」を開催するという。タンブラーのデザインを募集し、24作品をタンブラー化するという。デザイン募集は11月24日締め切りとのこと。詳しくはこちら→ http://chubblog.exblog.jp/9933832/ 
夕食は久しぶりに経堂の<楽屋(ささや)>。料理とお酒の美味しさはもちろんだが、あまり忙しくないときに、店主夫婦と、漫画、映画、音楽のことなどを語るのが楽しい。この日はお店が野菜を仕入れている農園についての悲しい話もあった。

料理ははまちの炊き合わせや人参と人参葉のかき揚げなど。自分が連れてきた何人かが、お店に通ってくれていると聞いて嬉しい。連れてきた甲斐があるというものだ。

この店を辞するときは、いつもお奨め漫画を貸し、お奨めCDを借りるのが恒例となっているが、今夜は店主Hさんのお父さんの新刊をいただく。Hさんのお父さんは哲学者(私も著作を何冊か持っている)で、お母さんは絵本作家。お母さんの著作も「未来」に連載(武藤さんが表紙を描く前)したものがまとまったはずだ。

帰りに新刊書店に寄り、入江喜和の『おかめ日和』(KCデラックス)の1巻を見つけ喜ぶ。なかなか見つけられなかったのだ。女性誌連載コミックは棚で探すのに勘が働かなくて困る。新井英彦との結婚によって(?)連載が中断し、未完の『のんちゃんのり弁』は小西真奈美主演で映画化らしいhttp://eiga.com/buzz/20080812/4 (テレビ版は渡辺典子だった)。これを機会に品切れ中のコミックスは復刊されるか。もちろん続きを書いてほしいのはやまやまだが、多分、著者の気持は切れているのだろう。

家に帰るとポストに「通販生活」が届いていた。風呂でパラパラとめくると、<書肆アクセス>閉店とともに終了していた地方出版を紹介する連載が復活していた。<書肆アクセス>閉店で「ネタ元」がなくなったが、店長の畠中さんがすずらん通り(東京堂)に地方出版コーナーと共に帰ってきた。「ネタ元」の復活とともに連載も復活というようなことが書いてある。畠中さんの影響力恐るべし。<三省堂>と<東京堂>、どちらでも地方小扱いの本が買えるのは、客にとってはありがたい。

町山知浩『アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない』(文藝春秋を読了。ラジオ番組を聴いているかのように面白く読めるが、冷静になると、本当に暗い気持になる本(内容に関連した中公新書ラクレの『アメリカの宗教右派』も2/3ほど読んだのだが行方不明)。「週刊現代」に連載したものが中心だが、なぜか講談社から出なかった。連載中の内澤旬子さんのイラストがないのも寂しい。この連載を読むために「週刊現代」を購読していた人もいたと思うが、連載の終わりもかなり唐突だった。文春ペーパーバックと銘打って値段をかなり安く抑えていることもあるのか、相当、売れているようだ。私が買った某書店ではかなりの冊数が入荷したらしいが、手にしたのは最後の一冊だったとのこと。講談社はもったいないことをしたのではないか。

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)

アメリカ人の半分はニューヨークの場所を知らない (Bunshun Paperbacks)