「我楽多文庫」

わがセクションの入口から「我楽多文庫」なる単語が聞こえてくる。目をやると古雑誌の山。本のことを何も知らない部下に持ち主が「表紙の状態がわるいけど、ものすごい安い値段で出てたんですよ。大阪のネット書店で」と熱く語っている。

するすると近寄り、「『我楽多文庫』って硯友社のやつですよね」と話に加わると、「そうです」との返事。「尾崎紅葉とかが書いてるやつ」と付け加えると「そうです」。それで、話が終わってしまった。

「もしかして古本とかお好きなんですか?」なんて言われて、少し話が盛り上がるかなあなんて一瞬夢想したのだが、全くそんなことはなかった。「我楽多文庫」に反応する人にここまでそっけないかなあ。ここは古書店でも古書会館でもないのだから。そんな風に思うのは、ん、人恋しいのか? というより本の話に飢えているのか。

少し残業をしてから、職場の出口の前に停留所がある文京区のコミュニティバス・Bーぐるに乗る。終点の文京区役所前で降り、東京ドームの前を通る。ドームからはものすごい歓声。クライマックスシリーズ・セカンドステージ巨人−中日戦の初戦。

外の売店のラジオからは、木村拓也のタイムリーで巨人が追いついたというアナウンサーの興奮した声が流れてくる。いい試合のようだ。

ジェフリー・ディーヴァー『スリーピング・ドール』(文藝春秋を読了。当然、年末の各ミステリーベスト10の上位に入ってくるだろう。相変わらずの職人芸で読者を飽きさせずにラストまでページをめくらせる。リンカーン・ライムシリーズの『ウォッチメーカー』に登場した”人間嘘発見器”のキャサリン・ダンスが主役。なかなか魅力的な主人公なので、こちらもシリーズ化されそう。実は、何年か英語の多読http://www.seg.co.jp/sss/ というのをやっている。これは、児童書や単語数を制限したリライトものを、とにかくたくさん読むという英語学習法。しばらくは、児童書などを読んでいたが、やはり、面白くなくて続かない。そこで、最近はミステリー中心にやっている。といっても、いちいち辞書を引いていては読書にならないので、読み飛ばす。ミステリーの大事な伏線等がわからないまま、なんとなくのストーリー理解のままラストまで行き、そこで犯人ぐらいはわかるという全く面白くない読書になっていた。そこで、最近は原書で半分ぐらいまで読んで、そこでやめておく(最近のミステリーは長いから、半分でもかなりの英語を読むことになる)。翻訳されたら、それをまた最初から読むというやり方に切り替えたら、かなりの英語読書の量をこなせるようになった。英語多読をしている人にお薦めしたい方法。この本も原書で半分ぐらい読んでほっぽっといて、翻訳が出たので読んだ次第。ただし、これは使用する本が相当面白くないとつらい(全部が理解できなくても読者を引っ張っれるぐらいでないと!)。ジェフリー・ディーヴァーはまさにうってつけの作家。早速、リンカーン・ライムシリーズの最新作『THE BROKEN WINDOW』を読み始めた。

スリーピング・ドール

スリーピング・ドール