墓参り

高尾の霊園にお墓参りに行く。定年から一年後ぐらいに癌で亡くなった元上司のお墓。職場の後輩と二人。高尾に行くのは、年に一回、このお墓参りぐらいだが、電車に乗っている時間が長くて読書がはかどっていい。読書が一番はかどる場所、一位は電車、二位は大病院の待合室、三位は風呂といったところか。

広瀬和生『この落語家を聴け! いま、観ておきたい噺家51人』(アスペクトが面白く、高尾に、もう着いてしまったの? という感じ。高尾駅からバスで霊園まで。いくつもの霊園が隣り合っている霊園密集地域。小雨の中、お墓の周囲を掃除し、墓石等を綺麗にする。焼香して帰宅する。

故人の奥様がいらして、我が家で偲ぶ会。いろいろなことを話しながら、ビールやワインを。夜から別の飲み会があるのだが、飲みすぎてしまった。奥様も野球好きなので、オリンピックのアメリカ戦を見ながら。あまりの戦いぶりに二人で憤慨す(後輩はスポーツに興味なし)。

入浴してから新大久保に向かう。代田橋駅で電車を待つが、なかなか来ない。調布の花火大会の混雑により、電車が遅れているとのこと。約束より少し遅れて、マレーシア料理の<マハティール>に到着。この店は、エスニック料理に詳しい歳若い友人K君が選んでくれた。彼の「選球眼」は確かなので、大丈夫だと思っていたが、料理の美味しいこと。お腹はいっぱいだったのに、「別腹」という感じで吸い込まれていく。もうちょっと、お腹を空かして、ここには再訪したい。

K君はカレー店開業の準備中(というか追い込み)。8月31日(日)がオープン予定。東小金井駅南口から徒歩5分。詳細は後日に。東小金井周囲の駅には古本屋も多い。古本屋巡りのときの昼食は、是非、彼の店に。しかし、まだ店名も決まっていないようなことを言っているし、果たして、31日にオープンできるのか。

石持浅海『心臓と左手 座間味くんの推理』(カッパノベルスを読了。長編『月の扉』について、お薦めとして、力の入ったPOPを作っている書店も多い。探偵役の設定と、彼のキャラクターは面白いと思ったものの、POPを見るたびに「そこまでの作品か…」と思ってしまう。けれども、その彼“座間味くん”が主人公の連作推理ということで手にとったのは、やはり彼の魅力的キャラクターゆえか。「人間」を描こうという姿勢が、各作品でものすごく強く感じられたが、ミステリーとしては弱い。表題作の「心臓と左手」ぐらいしかミステリー的な面白さは感じなかった。あるものの使い方は先行作に似たようなものがいくつかあるが(栗本薫の『×××××』とか)、その使用目的に現代性がある。そこには感心した。

心臓と左手  座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)

心臓と左手 座間味くんの推理 (カッパ・ノベルス)