声に出して読みたい盗作

仕事終わって、徒歩で<古書 ほうろう>http://www.yanesen.net/horo/ まで。『ぐるり』http://www.village-press.net/html/gururi.html プレゼンツの「南陀楼綾繁トーク十番勝負 その4 声に出して読みたい盗作〜『〈盗作〉の文学史』刊行記念〜」を聞きに。

レジで出たばかりのけものみち文庫1『積んでは崩し 南陀楼綾繁のブックレビュー&コラム1999〜2004』を買う。レジ横に生ビールサーバーが設置されていて、一杯300円也。美味。おかわりしたいところだが、異常ににトイレが近い自分なので自粛。トーク前にしっかりトイレに行っておく。7時開始予定だったが、10分遅れてスタート。

『〈盗作〉の文学史』の著者の栗原裕一郎氏(ニュー評論家)http://d.hatena.ne.jp/ykurihara/ に、南陀楼さんhttp://d.hatena.ne.jp/kawasusu/ が話を聞く。栗原さんの肩書の「ニュー評論家」について初めて知る(これって有名な話なんだろう)。

『〈盗作〉の文学史』は既に読んでいたので、知っている話が中心だったのだが、今回の趣向は、「声に出して読みたい」という部分。元ネタとパクッたと言われている作品を朗読により比較対照しようという試みだ。朗読は詩人の佐藤わこさん。

サリンジャー庄司薫のように、文体が似てると言われているものは、朗読により、それがクリアになったような気がするが、翻案したようなものはかえってわかりにくくなったのは意外だった。字で読んだときは大藪春彦のパクリは”モロ”だったのだが、聞いたらよくわからないのだ。

後半は、安藤礼二氏(文芸評論家)が加わってのトーク。安藤氏のお名前は知っていたが、書いたものは読んだことはなかった。パワフルなトークで、内容も面白くスリリング。澁澤龍彦、寺山修二、中井英夫の話など。安藤氏の書いたものが読みたくなる。早速、手に入れよう。告知があった近著も面白そうな内容。

トークは予定より延びて9時45分頃終了。朗読部分は初めての試みということで、次の機会(?)に向けて改善点はあるものの(とりあげたセンテンスが長すぎたものがあった)、2時間半のトーク中、飽きることなく、興味深く聞けた。参加料は充分もとをとって、お釣りまでもらった感じ。

栗原氏と安藤氏の接点が、太田裕美沢田聖子だというのも楽しい(普段は「文学」の話などは全くしないそう)。

次回のトーク十番勝負 その5は、年9月12日(金) 午後7時から下北沢の<対抗文化専門古書 気流舎>で、「映画本に憑かれて」のタイトルで行われる。ゲストは、、『ものみな映画で終わる 花田清輝映画論集』(清流出版)、山崎忠昭『日活アクション無頼帖』(ワイズ出版)などを手がけている編集者の高崎俊夫氏とのこと。http://d.hatena.ne.jp/kawasusu/20080812

映画本好きとしては、これも是非、行きたい。人事異動後は、平日のこれぐらいの時間のイベントにも何とか行けるようになったのが嬉しい。

『〈盗作〉の文学史』関連のトークでは、<ジュンク堂>の池袋店で、9月11日(木)に栗原氏に小谷野敦氏と枡野浩一氏を加えた鼎談があるという。今日のトークは、枡野氏も聞きに来られていた。

10時開始のオリンピックの女子サッカー準決勝が見たかったのだが、<アンチヘブリンガン>に電話すると、プロジェクター観戦するとのことなので向かう(ご主人Oさんは、大のサッカーファン。そういえば、発売中の「ku:nel」の高橋みどりさんの「伝言レシピ」にOさんのカレーが掲載されている)。

食事をしながら(もちろんビールも)、日本女子を応援するも、敗れる。身長のせいもあるだろうが、日本のGKは高いボールへの対応がよくなかった。

神保町まで歩いて帰る。途中、友人から聞いた<アッチコーコー>という店を確認する。今度、来よう。

帰宅後、録画していた「ケータイ捜査官7http://k-tai7.jp/index2.html 2話分を見る。プロダクションI・Gが初めて手がける実写特撮作品で、三池崇、金子修介押井守らが演出をする番組という予備知識はあったが、全く見ようという気はなかった。

それが、先週、オリンピックの合間にチャンネルを廻していたら、過去放送分の傑作選を放送していた。何となく見たら、これがなかなか面白い。どうやら、視聴率が悪く、そのテコ入れのための再放送らしいが、毎日2話ずつ放送している。傑作選だからかもしれないが、よくできている。前述の3人以外も、全て「本編」を撮っている人ばかり。子供向け(?)特撮番組なのに、俳優陣もなかなか力が入っている。伊藤裕子松田悟志津田寛治ミッキー・カーチス劇団ひとり手塚とおる石橋蓮司渡辺いっけい益岡徹ら。

テコ入れなので、これからの本放送の予告が流れている。今週放送分がホラー調で監督が鶴田法男。来週、再来週の予告が、どうも普通じゃない。完全に押井ワールド。予告見ただけで、この番組を見てる子供たちがどう受けとめるか心配になる(こちらは怖いもの見たさで楽しみだけど)。

2時半過ぎに就寝。明日の朝、起きられるか心配だ。

栗原裕一郎『〈盗作〉の文学史』(新曜社をとっくに読了。分厚い本だが一気読み。文献調査が行き届いた労作。トークでも言っていたが、国会図書館でマイクロのリールをひたすら廻す日々が想像できる。それぞれの「盗作事件」は、知ってはいても、ここまできちんと一次資料が示されたものは皆無だったろう。つまらない本何冊か我慢して、この一冊を買ったほうがいい。大河ドラマ春の波濤」の話題で、杉本苑子の著作が過去の大河に「盗作」された見返りに、大河の原作に杉本の著作を採用したのではという「バーター」疑惑が載っている。山崎豊子の4回目だか、5回目の「盗作事件」の『大地の子』のときに、山崎も文春も「盗作」を認めていないのだが、その後、「盗作元」とされた本が、文春文庫に入ったのは、相当に「バーター」の疑いが濃いと思うのだがどうだろうか。

〈盗作〉の文学史

〈盗作〉の文学史