高遠へ

foxsya2008-05-01

本日、職場は臨時休業。昨夜思い立って、高速バスを予約した。朝8時20分発の高速バス。新宿駅南口JRの発着場。いつも思うが、ここは秘密基地感が強い。場所の雰囲気だけでなく、発車にしても、到着にしても、秘密の隠し道路を通っているみたい(駅のホームの人と目が合うのも面白い)。

バスの中では、ノートパソコンを叩く。スーパービジネスマン(?)みたいだが、仕事ではなく、頼まれていた高校の同窓会報の原稿。思い切り、締め切りが遥か彼方に過ぎ去っていて、さすがに尻が火がついているのだ。

途中、うつらうつらしながら、3時間オーバー、バスに乗って目的地の長野県は伊奈郡の高遠に到着。

そう、今日は、「本の町計画」の「古本と喫茶 本の家」http://hon-no-machi.com/ のオープン日。数日前に、ある件で北尾トロさんhttp://www.vinet.or.jp/~toro/ から、電話をいただき、話しているうちに、「せっかくの休みだから、高遠まで行ってみよう!」と決意した次第(話していたのは、ラブホテルの話だったりしたのだが)。

バス停から近いとは聞いていたので、地図もプリントアウトしてこなかったので、少し迷うかなと思ったら、まさに目の前。徒歩10秒だった。

北尾さんや元<ハートランド>の斎木さんらスタッフの方々に迎えてもらう。昨日の遅くまで、開店準備で忙しかったようだが、店内は綺麗に片付いていた。

店も広くて、入口そばにカフェスペースと展示スペースがある。開店記念の「美篶堂・製本の世界」展が開催中。なんでも、 <美篶堂>http://www.misuzudo-b.com/ の上島社長の出身地が、高遠の隣町の美篶だという縁で、今回の記念展示になったそうだ。<美篶堂>の美しく製本された展示物を見てから、棚を眺める。

眺め始めた途端に、読みたいと思っていた『パヴァーヌ』を見つける。いい値段(妥当ですが)がついていたが、せっかくここまで来たのだから買うことにした。購入した本は以下の通り。

キース・ロバーツ『パヴァーヌ』(扶桑社)
川本三郎『‘80年代 都市のキーワード』(阪急コミュニケーションズ)
「ロック画報」第1号(はっぴいえんど特集)
鈴木邦男『失敗の愛国心』(理論社
辰野隆『忘れ得ぬ人々』(講談社文芸文庫
安岡章太郎『僕の昭和史1』(新潮社)
植草甚一 マイ・フェイヴァリット・シングス』図録

ゆっくりと本を見た後、カフェスペースで美味しいコーヒーを淹れていただく。どうせ、ここまで来たのだから、「本の町計画」の最初のお店(現在は<高遠 長藤文庫>として、<書肆月影>と<れいど・ばっく>のお二人が運営中) http://osafuji.web.fc2.com/ にも行こうとするが、思ったより距離があり、バスの時間も合わないので、今回は断念する。ただ、事前にきちんと考えてくれば、高速バスと、<高遠 長藤文庫>のある古屋敷行きのバスをうまく組み合わせられそうなので、次回はチャレンジしてみよう(サイトの「『高遠 長藤文庫』への行き方」が参考になる)。

周囲をあてもなくぷらぷら歩く。こういう時間が好き。温泉施設が近くにあるらしい案内板があったので、案内に従って向かう。入浴料は500円。午後6時以降は、なぜか安くなり350円。この時間には人が殺到するらしいが、訪れた2時半頃は空いていた。

一時間ほど、ゆっくり湯につかる。露天風呂に入り、のぼせかけると上がり、傍らのベンチに座り、涼風にあたる。そこで、持ってきた山村修『気晴らしの発見』(新潮文庫)を読む。少し、体が冷えてきたら、また湯の中に。その繰り返し。

風呂からあがり、名物だという手打ちそばを休憩フロアで食べる。味は普通。量は少し物足りない。

店に戻り、もう一度、本棚を眺めているうちに、高速バスの時間が近づく。最後のバスなので、乗り逃がしてはいけないと、そわそわする私に、北尾さんが「バスが入ってくるのが見えるから、それから停留所に行っても間に合うよ」と教えてくれる。

予定の時間になってもバスはやって来ない。遅れているようだ。落ち着かないので、バス停に行き、そこで待っていると、10分遅れぐらいでバスがやってくる。すると、お店からスタッフの李さんが、疾風のようにバス停に飛び込んでくる。やっぱり、この高速バスに乗るのに慣れているようだ。彼女も、今日、東京に帰るらしい。

温泉に入ったせいもあるのだろう、帰りの車中は、ずっとうつらうつらしていた。東京に入った頃だろうか、人の気配を感じて、目を開けると、李さんが、どこかの停留所で降りるところだった。手元には付箋紙が。今日、来てくれたことに対するお礼が書いてあった。その付箋紙を眺めているうちに、また、うつらうつら…。

谷岡一郎『SFはこれを読め!』(ちくまプリマー新書を読了。本をとって、驚いた。この著者は、社会調査のリテラシーの本を出している大阪商業大の学長。どうやらSFファンだったらしい。以前、著者の「熱い!」語り口について書いたことがあったように思うが、この本でもそれが健在。SFへの溢れるばかりの愛が熱く語られている。中高生にとっては、なかなかなSF入門書になっているのではないか。昔、SFを読んでいたけど、最近は…という大人にもお薦め。巻末の著者選のオールタイムベストも、バランスがとれていて、いいチョイス。今日、買った『パヴァーヌ』も紹介されている。[rakuten:book:12876664:detail]