「でんわの父さん」

foxsya2008-04-29

みどりの日で休日。最近、仕事が嫌で仕方がないので、休みの日がとても嬉しい。以前は、仕事大好き人間だったのだが、今の部署に異動して8年。やはりマンネリなのか…。

まずは、神宮球場大学野球観戦。贔屓チームの逆転勝利に気を良くして、渋谷までぶらぶら歩く。途中、ビルの工事現場の傍らを通りかかる。金属製の囲いに絵が描いてあるものは、よくあるが、ここのはずらっと本の背表紙が並んでいる。これが、いかにもセレクトした本ばかりで、趣味のいい人の本棚を見ている気分。海外文学や穂積和夫のアイビー本に混じって、坪内祐三『極私的東京名所案内』(彷徨舎)が並ぶ。

渋谷から東横線学芸大学まで。<ブックオフ>が単行本のセールらしいので。目前に迫った「外市http://d.hatena.ne.jp/wamezo/ 用に何冊か拾えればいいのだが。

中野翠『よろしく青空』(毎日新聞社)と、「外市」用の本を何冊か買う。

携帯で検索した乗換案内に従って、千駄木まで。思ったより近かった。今夜は<古書 ほうろう>http://d.hatena.ne.jp/koshohoro/ で、加藤千晶さんhttp://donutfilms.jp/chiaki/ のライブ。

<ほうろう>の前まで行くと、岡崎武志さんhttp://d.hatena.ne.jp/okatake/ が既にいらしていた。「なんや、その黄色い袋は」「そうなんですよね。古本屋さんに来るのに、この袋丸出しというのも…何かバッグを持ってくればよかったんですが」と言うと、「そうやで」と岡崎さんが持っていた<蟲文庫http://mushi-bunko-diary.seesaa.net/ トートバッグを見せてくれると、中には、あの黄色い袋が。

<ほうろう>の宮地さんの挨拶があり、ライブはスタート。宮地さんの挨拶は、大好きな千晶さんのライブが自分の店でできる喜びにあふれたものだった。宮地さん夫婦には、吉祥寺<MAN-DALA2>や下北沢<lete>の千晶さんのライブで会って、千晶ミュージックの素晴らしさを話したりしていたので、挨拶を聞いていると、少し、うるっときてしまった(心弱り気味なのか)。

ライブはいつも通り楽しいもの。「町屋の塀」など、アルバム未収録の曲が何曲か。家でも聞きたいので、早く新しいアルバムが出るといい。古本屋さんでのライブということで、合間には宮地さんとの古本談義。千晶さんのアルバム「おせっかいカレンダー」のジャケット絵は、かこさとし。この絵を描いてもらうまでの、千晶さんのかこさんへのストーカーぶりというか脅迫ぶりを、他のライブで聞いたことがある。千晶さんのかこさとしコレクションをいろいろ見せてもらうと、あのストーカーぶりもかこさんへの愛ゆえなのかと納得。

「おせっかいカレンダー」ジャケットの元ネタの絵本も楽しかったが、圧巻は、加藤さんの体が隠れてしまうような(少しオーバーか)巨大絵本。非売品の「宝くじドリームジャンボ絵本」の「でんわの父さん」。千晶さんは、ネットオークションで落札したとのこと。内容は、シュールの一言。ラストの展開には、聴衆、あっけにとられていた。かこさとし、恐るべし。宝くじの担当者も「内容は先生におまかせします」で、できあがってみたら、あの内容で頭をかかえたというのは想像のしすぎか。そもそも、このジャンボ絵本は、子供たちへの読み聞かせイベントなどで、使われたものらしいが、この絵本は果たして使われたのだろうか。

千晶さんが、好きなお菓子として、「アルフォート」というチョコレートのことを語っていたのだが、千晶さんも「知ってて当然」という感じで話していて、お客さんたちも「当然、知っている」という感じで聴いている。まったく聞いたことがないお菓子だが、「常識」なのか…。甘いもの嫌いだから仕方ないか(「キットカット」ぐらいは知ってる、とむきになって言ってみる)。

ライブ後、岡崎さんに誘っていただいて、軽く飲み。<ほうろう>のレジで、宮地さん達に「どこかいい飲み屋ないですかね」と聞くも、すぐには出てこない。長居するわけでもないので、西日暮里駅に向かう途中で適当なところに入ろうと歩き出すと、後ろから<ほうろう>の山崎さんが走って追いかけてくる。「いいお店があるんです」と、山崎さんが教えてくれたのは、南陀楼さんhttp://d.hatena.ne.jp/kawasusu/ がブログで紹介していた「スサミストリート(南陀楼さん命名)」の立ち飲みのおでん屋だった。

女将が、「この店を何で知ったのか」聞くので、<ほうろう>の山崎さんの紹介だと答えると、この店での山崎さんの武勇伝(?)をいろいろ聞かせてくれる。

岡崎さんとは、古いテレビドラマの話。私は、最近、CATVの日本映画専門チャンネルで見た、向田邦子の「蛇蠍のごとく」の話をすると、岡崎さんからは、小倉一郎出演のドラマの話を聞く。これは、是非、見たいと思った。CATVのTBSチャンネルあたりで放映してくれないものか(「東芝日曜劇場」だったか、「木下恵介アワー」だったか、そもそもタイトルは何だったか)。単なるノスタルジーや昔贔屓ではなく、今のドラマと昔のドラマは明らかに”別モノ”だと思う(どちらがいいということではない)。

一時間ほど飲んで帰宅。岡崎さんは、ここから家までかなりかかるだろう、忙しい中、遅い時間までいろいろお話を聞かせてくださり感謝。

永江朗『暮らしの雑記帖―狭くて楽しい家の中』(ポプラ社を読了。花森安治時代の「暮らしの手帖」へのオマージュというか、著者なりの実践の記録と言えようか。ブックダーツ(栞)とプレスマン(シャープペン)と、お気に入りの道具が共通なのが、個人的には嬉しい。紹介されているほうきの小さいのは買いに行こう(スーツのほこり払い)。巻末に、松浦弥太郎氏へのインタビューあり。永江氏の「新編集長」への期待が伺える内容。

暮らしの雑記帖―狭くて楽しい家の中

暮らしの雑記帖―狭くて楽しい家の中