皆、踊らされていないか?

ここ5ヶ月間、来年度の予算編成を行ってきて、来週頭の役員会にかけることになっていた。事前のトップへの説明が昨日の午前中。予想もしなかったが、この予算編成案は認められないということで、全て白紙に(すんなり行くとは思っていなかったが)。

午後は日比谷のプレスセンタービル。非常勤の役員への説明。

朝から晩までずっと怒られている一日。共通しているのは「君たちに怒っているんじゃない。この腐った生ぬるい組織を変えるには荒療治が必要なんだ。君たちが憎まれ役にならなくて誰がなるんだ!」ということだろうか。

ずっと、こんな調子でやられていては、結局は怒られているのと同じ。精神衛生上、すこぶるよくない。すべて正論で、おっしゃる通り。なまぬるい組織に現状の厳しさをどう伝えるか(今までも試みているが、暖簾に腕押し)…難しい。

こんなときは、酒に逃げる。8時半頃、仕事場を後にして、水道橋の<アンチヘブリンガン>へ。

モツ煮とアマトリチャーナ(トマトとベーコン)のパスタ。生ビールと白ワイン。

一人で飲むときは基本的に、飲みながら読書なのだが、心境的に重いものは読みたくないので、来る途中にコンビニで買ってきた読書特集の「一個人」を(この雑誌、買うのは2回目ぐらいか)。

いろいろな作家が「人生、もう一度読み返したい本」を紹介しているが、夏樹静子の名前が夏「木」静子になっている。それも200級ぐらいの特大文字。写真のキャプションで、本棚にはずらりと自著が並ぶというようなことが書いてある。もちろん、本棚に並んでいる著者名は、ちゃんと「樹」。これ、気づかないかな。夏樹先生はお怒りじゃないかしら。

近々、落語特集を組むらしく、落語についてのアンケートのお願いが巻末にある。

読みたい記事を選択肢から選ぶ設問もあるが、これが「落語の粋な名台詞BEST50」のような具体的な選択肢。多分、過去の号の記事なのだろうが、アンケートの結果を見て、票を集めたものと似たような企画を立てるつもりなのだろうか。マーケティングの一種と言えるのか、こういう雑誌の作り方、何か嫌だ。

落語を題材にした作品で好きなものを選ばせる設問もある。映像も小説もいっしょくたのごちゃごちゃ感も嫌だが、選択肢の「春桜亭円紫」というのも嫌だ。

北村薫『空飛ぶ馬」」というように、著者名と代表作をあげるか、「円紫シリーズ」とか「円紫さんとわたしシリーズ」とかにすべきじゃないか。選択肢が「春桜亭円紫」という5文字だけというのは、少し雑すぎるのでは。

アンケート全体がものすごく雑。さて、どんな落語特集になるのやら。

何か細かな文句ばかりで、大したことないじゃんという言葉も聞こえてきそうだが、ささくれ立った心のせいか、イライラはつのるばかり。すみません。

落語といえば、4月に行われる「落語睦会」のチケットが取れた。これは楽しみ。出演は、喜多八、扇遊、鯉昇。

「一個人」に話を戻すと、トピック欄に<ブックダイバー>が登場していた。

川上弘美『東京日記 卵一個ぶんのお祝い。』(平凡社)を読んで、心を落ち着かせる。こういう心持のときに読むのにぴったりな本。

落ち着いたところで、お店のご主人とその友人と昔のロックの話。イエスジョージ・ハリスンなど。私はビートルズの中では、ハリスンが好きなのだ。

アルバイトのM君は、コンビニでもアルバイトをしているのだが、節分の恵方巻の予約が400本を超えているとのこと。大阪の人はともかく、それ以外の地方の人、皆、踊らされていないか?

川本三郎『私の東京町歩き』(ちくま文庫を読了。散歩の途中に三河島の<稲垣書店>を見つけるくだりが出てくる。中山さんの紹介が「若き店主」。20年前の「東京人」の連載をまとめたものだ(単行本時のあとがきに編集者として坪内祐三氏の名が)。<稲垣書店>を見つけたのは、<金美館>というポルノ専門映画館ににっかつロマンポルノを見に行ったとき。この映画館はマンションの2階にあったという。単行本発行時の90年には既に姿を消している。川本さんはロマンポルノのお気に入りの女優は、引退してしまったTとSと書いているが、これは誰だろう。私は何と言っても伊藤京子。可憐な人だった。10年近く前に電車に飛び込んで亡くなったと週刊誌で読んだことがある。

私の東京町歩き (ちくま文庫)

私の東京町歩き (ちくま文庫)