星に願いを−「外市」終了

foxsya2007-07-08

池袋の<古書 往来座http://www.kosho.ne.jp/~ouraiza/ での「外市」2日目。昨日、旅猫雑貨店http://tabineko.seesaa.net/ の金子さんが売っていた「ひょうたんから水http://www.excite.co.jp/News/bit/00091154086095.html のペットボトルに、「ブリタ」の水を詰め、冷凍室で冷やしてから出動である。

わめぞバッヂ2つ(武藤良子さんhttp://f.hatena.ne.jp/wamezo/20070623201426浅生ハルミンさんhttp://f.hatena.ne.jp/wamezo/20070623201425 のイラスト=リンク先はバッヂのイラスト)を前掛けにつけて、棚に本を詰める。昨日の残りに10冊ほど追加。少しでも量を少なくして閉店を迎えたいという気持ちと、もう少し売れるかもという気持のせめぎあい。

棚に並べ終わると同時に、開店の11時。昨日よりはお客さんも少なく、ゆったりとしたペースのスタート。

水道橋の<食堂 アンチヘブリンガン>のO夫妻も自転車でやってきて、棚を見てくれている。山本善行さんhttp://d.hatena.ne.jp/zenkoh/ の棚の中村伸郎『おれのことなら放つといて』(早川書房)をOさんの奥さんのMさんが買うだろうなと思っていたら、やはり、お買い上げ。中村伸郎の大ファンなのだ。先日も、家にあった「喜劇悲喜劇」の中村伸郎特集を差し上げたところ、とても喜んでくださった。『おれのことなら放つといて』は、文庫版の中村伸郎の顔の表紙よりも、この単行本の犬のイラストのほうが個人的には好きだ。

Mさんが「外市」のイラストhttp://f.hatena.ne.jp/wamezo/20070616194223 を気に入っていたので、武藤さんhttp://d.hatena.ne.jp/mr1016/ を紹介する。お店にチラシを置かせてもらいに行ったときに、Mさん曰く「すごくいい絵ね。これを描いているの、どんな男の人なのかしら」。なぜ男性と思ったかは謎。

今日は、午後2時からトークイベントがあるので、販売担当を早めに切り上げ、コンビニ弁当で昼食を済ませ、会場である「上がり屋敷会館」に向かう。

1時半を過ぎると、ぽつぽつとお客様がやってくる。今回も受付担当だが、前回と違って、心構えがあったので、スムーズに進む。

30人弱のお客様を迎え、2時過ぎに、荻原魚雷『古本暮らし』(晶文社)刊行記念 ワメトークvol.2がスタート。テーマは「三重県人!〜わたしたちが東京に来るまで〜」で、魚雷さんhttp://gyorai.blogspot.com/トークのお相手は、イラストレーターの”猫ストーカー”浅生ハルミンさんhttp://kikitodd.exblog.jp/ 。司会進行は、向井さんhttp://d.hatena.ne.jp/sedoro/

三重県出身の二人の中学、高校時代の話が中心。魚雷さんの中学校の「スクール・ウォーズ」以上の信じられない荒れ方に驚く。廊下をバイクで走ったり、ガラスを割ったりは同じだが、バイクから一斉にロケット花火が教室内に打ち込まれるのだ。魚雷さんたちは、バイクの爆音が聞こえると、机の上に頭を伏せる、その上をロケット花火が通り過ぎていく…。

また、ガラスが全部割られているので、冬の寒さに耐えられない。魚雷さんたち、ノン不良の生徒たちは、不良たちが壊した木製ロッカーで教室内で焚火をして、暖をとっていたという。

ハルミンさんは小学校で、算数と国語の区別がつかず、テストの「1+1」の問題に、漢字で「王」と答えたことを憶えているという(確かに1+1だ)。

向井さんの名盛り上げぶりもあり、トークは楽しく終了。取材(探偵調査?)中に10時間以上、監禁されるなど、上京してからの魚雷さんのエピソードも興味深いものもあるので、「上京以後」のトークの開催も期待したい。

背後が窓になっていたため、強い日差しで、3人は汗だくだったそうだ。向井さんは「これだと、9月頭のトークは無理かな」と言っていた。たらいに大きな氷(一貫目で2,000円ぐらいか)でも入れて、それを演者の背後に置いてやったらどうだろう。そんな様子が、この「上がり屋敷会館」という会場にぴったり合っているような気がするのだが。

トークの後は、即席のサイン会。『古本暮らし』『借家と古本』に、皆さん、サインをしてもらっていた。ハルミンさんイラストのわめぞバッヂを買い求める人多し。

お金の計算を済まして、<往来座>に戻ると、「外市」終了まで、一時間を切っているのに、棚の前はお客さんでごったがえしている。

お客さんが多かったので、5時終了を30分ほど延長。その後、「外市」用の本を片付け、均一本を均一台に配架し、台を元の場所に戻す復元作業を一時間半ほどかけて行う。チームワークよく、効率的に行えた。雨除け用の「かもめ」もスムーズに撤収。それにしても、<往来座>のアルバイトの皆の働きぶりには感心することしきり。こういう爽やかな若者たちがいれば、日本もまだまだ大丈夫だという大袈裟な感想を持つ。

打ち上げは、近くの居酒屋<北海道>へ。昨日の店が、ひどい状況だったので、この店のサービスが高級店のように思える(前回、来たときは、そんなこと少しも感じなかったのだが)。

売上の発表があり、各自に売れた本のスリップが配られる。各自、飲食の手をとめて、スリップを一心不乱にチェックする。さっきまでの賑やかさが嘘のような静寂。一枚一枚、スリップをめくっていく瞬間がたまらなく楽しい(わめぞバッヂの売上も発表されたが2つのバージョンが1枚差という仕込んだような結果に少し驚く)。

<ふぉっくす舎>は37冊を売上、何とか目標の10,000円をクリアする12,250円也。トップ3は<古書現世><古書 往来座><善行堂>。ゲストの<善行堂>はさすが。

<ふぉっくす舎>も、もうちょっとしっかり本をセレクトすれば20,000円は行きそうだ。売れた本は以下の通り。

塩澤実信『雑誌記者 池島信平』(文春文庫)
森茉莉『貧乏サヴァラン』(ちくま文庫
糸井重里『情熱のペンギンごはん』(ちくま文庫
辻静雄『ヨーロッパ味の旅』(評論社)
中川一政『うちには猛犬がいる』(中公文庫)
大江健三郎『同時代としての戦後』(講談社文芸文庫
江夏豊『野球はアタマや』(徳間文庫)
石川文洋『戦場カメラマン』(朝日文庫
尾崎一雄『一文士の告白』(新潮社)
柴田元幸『猿を探しに』(新書館
野坂昭如『自弔の鐘』(毎日新聞社
野坂昭如『騒動師たち』(角川文庫)
野坂昭如『オペレーション・ノア(上下)』(文春文庫)
野坂昭如野坂昭如エッセイコレクション3』(ちくま文庫
仁木悦子編『不思議の国の猫たち』(光文社文庫
團伊玖磨『九つの空』(朝日文庫
池澤夏樹『読書癖』(みすず書房
萩本欽一『「笑」ほど素敵な商売はない』(福武文庫)
猪野健治『やくざ戦後史』(ちくま文庫
枝川公一時計じかけの東京探検』(新潮社)
三国一朗『鋏と糊』(ハヤカワ文庫)
伊藤比呂美『主婦の恩返し』(作品社)
矢作俊彦『ドアを開いて彼女の中へ』(新潮文庫
矢作俊彦『神様のピンチヒッター』(光文社)
矢作俊彦司城志朗『ブロードウェイの戦車1、2』(角川文庫)
矢作俊彦司城志朗『暗闇にノーサイド1、2』(角川文庫)
酒井寛『花森安治の仕事』(朝日文庫
麻生芳伸『落語百選 秋』(ちくま文庫
阿川弘之『カレーライスの唄(上下)』(講談社文庫)
赤塚不二夫監修『まんが入門』(小学館
山中恒『サムライの子』(講談社文庫)
小林信彦『唐獅子超人伝説』(文藝春秋
山口瞳『年金老人奮戦記』(文藝春秋

その後、飲みが進むうちに、人生の先輩たちがよってたかって退屈君http://taikutujin.exblog.jp/ にアドバイス。アドバイスに熱がこもりすぎたか、岡崎さんhttp://d.hatena.ne.jp/okatake/ の退屈君をかばう「事務所を通してください!」の一言が。決して、面白がっていたわけではなく、誰もが通ってきた道で、しかも、皆、それぞれ後悔がある。そんななかで、人生の先輩たちが熱くなった一コマだった。それにしても、退屈君は皆に愛されてるなあ。

打ち上げ後は、徒歩で早稲田近くの面影橋まで。「外市」では、金子さんが用意してくれた笹を備えて、わめぞメンバーやお客さんが思い思いの短冊を吊るしていた。その使用済みの笹を神田川に流しに来たのだ。

流れていく笹を見ながら「これから、家に帰って、近くの神田川に行ったら、この笹が流れてきたら面白いなあ」とつぶやくと、金子さんが「海に向かって流れているから、NEGIさんの家の方向と逆ですよ」と教えてくれる。恥ずかしい…。

わめぞメンバー以外は、タクシーに相乗りして帰宅。楽しい2日間はこれにて終了。「外市」に来ていただいたお客さん、お世話になったわめぞメンバー、皆に感謝。

本日、購入した本は控えめに以下の5冊。

sumus あまから特集」(魚雷さんの印入り)
業田義家『自虐の唄(上下)』(竹書房文庫)
辻まこと『画文集 山の声』(ちくま文庫
鴨居羊子『カモイクッキング』(ちくま文庫

福岡伸一生物と無生物のあいだ』(講談社現代新書を読了。分子生物学科学史であると同時に著者の自分史である。テレビの部品を一つ外して、スイッチを入れてみると、問題なく映る。今度はさっき外した部品の一部だけ外してみると、映らないという不思議なことが、生命の世界には起こる。こんな不思議なメカニズムが、タイトルにもなっている「生物と無生物のあいだ」なんだろう。あとがきにある著者幼少期のトカゲの卵をめぐる体験。ほんの小さな体験が人の生き方に影響を与えるということが、すとんと心に入ってくる。

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)

生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)