「本の栖(すみか)」

本日、夏休み。まずは、耳の治療で日本医科大学病院。2年半ほど前だったか、右耳が急に聞こえなくなり、この病院で診察したところ、<真珠腫>という病気だという。しかも、検査の結果次第では、内耳の骨をセラミックの人工骨にしなければならないなどと恐ろしいことを言われた。結局、そこまで進行していなかったのだが、ときどきは診察に来て、鼓膜に穴を開けたり、空けた穴にチューブを入れたりという手術(?)をしなければならない。

診察を終え、徒歩で、ある建築事務所に向かう。実は、わが家は築45年の老朽木造家屋で、大きな地震が起きたら、確実にぺしゃんこになる代物。その建て直しが私に託されている。もともと、建築に興味があり、一般向けの建築関係の本はかなり読んでいるし、「渡辺篤史のたてもの探訪」http://www.tv-asahi.co.jp/tatemono/ は毎週見ていたりするので、あれこれ頭の中で考えて妄想(?)を膨らませるのは楽しかった。

実際に動き出すとなるとなかなか腰が重かったが、両親からのプレッシャーもあり、少しずつ動き出したのだ。2年前にオープンハウスで知り合った建築家の方と、ときどき会ったり、メールで意見交換して、話を進めてきた。

一番の問題は、もちろん本の収納である。建築家の方にも、家まで来ていただいて、現在の蔵書の状態を見てもらった。また、棚の並べ方が好きな書店名や図書館名などを伝えたので、参考にしてもらったかもしれない。

基本設計ができたので、見てもらいたいとの連絡があり、事務所に向かったのだ。簡単な模型と基本設計図を基に話をうかがう。とてもいい出来で、特に本の収納は素晴らしい。設計図の表紙に建物の名前が書いてあった。「本の栖(すみか)」だそうだ。

実は金策の目処も完全にはついておらず、家庭のトラブルもあり、これ以降の実施設計が終わっても、すぐ建築を始められるわけではない。まだまだ、前途多難ではあるのだが、「本の栖(すみか)」の模型や設計図を眺めると、やはり幸せな気分になる。

設計事務所をあとにして、代田橋に戻り、歯の治療。いきなり、この場ですぐ決断がつかないことを言われ、迷ってしまう。迷い続けていたら、「それについては、今後、ゆっくり考えていきましょう」と言われ、ほっとする。

小松左京日本沈没(上)』(小学館文庫)を読了。著者の『果しなき流れの果に』『ゴルディアスの結び目』『継ぐのは誰か』『復活の日』といった作品は大好きなのだが、『日本沈没』『首都消失』などは読んでいなかった。しかも、カッパノベルズ版を持っているのに見つからない。東京地震の被害のシーンは凄まじい。これを読むと今度の映画のスペクタクルシーンは、やっぱりぬるい。

日本沈没 上 (小学館文庫 こ 11-1)

日本沈没 上 (小学館文庫 こ 11-1)