芥川賞候補作一気読みスタート!

朝刊に芥川賞直木賞の候補作が決定したという記事が載っていた。芥川賞候補は「新潮」掲載4作、「文学界」掲載1作という「きわめてまれ」(毎日新聞)なことになったという。

1年前に、芥川賞候補作を受賞作が発表されるまでに全て読み、受賞作を予想した(そのときの受賞は中村文則「土の中の子供」)。それが、なかなか好評(?)だったので、今回も挑戦してみようか。

図書館に行き、掲載誌を探す。「新潮」1月号、6月号は借りられたが、2月号は貸し出し中。「文学界」6月号は、毎号、切抜きの被害がひどく、貸出禁止で館内閲覧のみとのこと。借りられなかった2冊は、他の図書館で探すことにしよう。

職場からの帰りの電車で、島本理生「大きな熊が来る前に、おやすみ。」(「新潮」1月号)を読む。

同棲中の若い男女の話。読み進めるうちに、芥川賞直木賞の違いということを考えてしまう。二つの賞の境界に位置している作家は多い。そんな何人かの作家を思い浮かべる。文芸誌掲載か否か、それだけの違いか。純文学かそうでないかの、ジャンル分けにそれほど意味があることとは思えないが、こんなことをつらつらと考えてしまうのも物語に引き込まれていないせいか。

二人の間にある事件がおき、物語が動き始める。ここに至って、雑念が払われ、やっと物語に没頭できる。最後、二人の幼い頃の心の傷の正体が明らかになり(これは最初から暗示されている)、物語は無難な着地を行う。

芥川賞が、作者の今までの作品の蓄積ではなく、候補作のみを選考の対象にするものであれば、この作品での受賞は難しいのではないだろうか。少なくとも、自分には強く訴えてくるものがなかった。