自転車の楽しさが伝わってくるエッセイ

今日は職場が臨時休業日なので、自転車に乗ることにする。とりあえず行く先を決めずに調布方面に向かう。

下高井戸で何軒か古本屋を覗く。<にゃん屋*眩々文庫>という店で、和田誠『いつか聴いた歌』(文春文庫)250円を買う(これはダブりかもしれない)。海外文学・映画の本中心の店主の趣味性の強い店だが、早川、創元、サンリオといったSFが充実していた。昨年の6月開店とのこと。

桜の花がすでに咲いている。たくさんの袴を着た女性、スーツを着た男性たちとすれ違う。日大文理学部の卒業式のようだ。袴を着た女性に桜は似合う。

つつじヶ丘駅の近くに<かもしだ屋>という店があったので覗く。古書と中古CDなどのお店。店頭の均一棚に、本上まなみの写真集が何冊も出ている。手がのびかけたが、思い直して、永井愛『見よ、飛行機の高く飛べるを 』(而立書房)100円だけを買う。

国領駅に到着。サイクルコンピュータを見ると、家からちょうど10キロ。<ブックオフ国領店>で、色川武大『あやしい来客簿』(文春文庫)105円を買う。

帰りは寄り道せずにまっすぐに家に向かう。往復20キロの適度な運動だ。サイクルコンピュータを買ったのは、運転距離も知りたかったということもあるが、もちろんスピードも知りたかった。今、乗っているBD-1は、折り畳み式の小車輪径の自転車だが、ギアや歯車が工夫されていて、安売り店で売られているような、小車輪径の自転車よりは、走るようにできている(そのため高価)。スピードは15キロから30キロというところ。以前、乗っていたマウンテンバイクよりは、やはり10キロから15キロは遅いようだ。

伊藤礼『こぐこぐ自転車』(平凡社)を読了。古希を過ぎて自転車に目覚めた元大学教授の自転車や自転車旅についてのエッセイ。著者には『狸ビール』(講談社文庫)という著書もあるが、これは、講談社エッセイ賞を受賞して、話題になった。文章もユーモラスな味わいがあり楽しく読め、自転車の楽しさが伝わってくる。それにしても、国道20号の大原交差点の下をくぐる車道を走っているとはチャレンジャーだ(だから、それなりに怪我をしている)。さすがに、私は、あそこは歩道に逃げているのだが、今度、チャレンジしてみるか。
プロフィールの著書一覧からも推測できてしまうのだが、著者の出自を知らないで読んだほうがよい(知っている人にとっては、当たり前のことなのだろうが)。ラストにちょっとした告白があり、エッセイの締めにふさわしい効果を生んでいる。