何時間も抱きしめる
10月に姪が誕生した。可愛くて仕方がない。
休日出勤の振替休日が取れたので、妹が住んでいる横須賀に向かう。遠出をするときには、もちろん、古本屋に寄る。<ブックオフ>以外にも寄りたいと思ったのだが、『日本古本屋地図』、『ミステリーファンのための古書店ガイド』も見当たらず、ネットで探す時間もなかったので、やっぱり<ブックオフ>になってしまった。以前、関東圏の鉄道全図のコピーに<ブックオフ>のある駅をマーキングするという作業をしていたのが、こういうときに役に立つのだ(情報はその時点のもの)。
京急線沿線の<追浜店>と<堀ノ内店>に寄る。<追浜店>では、何も買えず、<堀ノ内店>では、川本三郎『映画の香り』(中公文庫)、佐野洋『推理日記PART5』(講談社)を各105円で購入。『推理日記』には仁木悦子の追悼文が載っている。「有力な新人」という項があり、この時期だと『我らが隣人の犯罪』(文春文庫)の宮部みゆきかなと思って読むとまさしくその通り。名推理というよりは、持っていて、既読なのではという思いがもたげてきた。といって、帰ってすぐわかるという本棚の状況でもない。
仁木悦子は好きな作家で、西荻窪の<ハートランド>で棚を借りていたときも、仁木悦子のフェアをやって20冊ぐらいは文庫を出した。しかし、あまり売り上げは芳しくなかった。<ハートランド>で棚を借り始めたときは、三段の棚のうち二段はフェアを組んでいたのだ。しかし、フェアの本がなかなか売れず、2か月目からはフェアを組むのはやめてしまった。
ちなみに、フェアのラインアップは以下の通りだった(日付は2003年)。
9月1日(月)〜8日(月)
特集 小林信彦の60冊〜オヨヨから渥美清まで
ミニ特集1 ビジュアル文庫を愉しむ
ミニ特集2 戯曲-紙の上の舞台
9月9日(火)〜13日(土)
特集 耽美な世界に溺れる〜赤江曝、戸川昌子、野阿梓、中島梓、皆川博子
ミニ特集 マンガ家が描いた表紙たち
9月14日(日)〜20日(土)
特集 ハードボイルドだぞ! 矢作俊彦のイカした男たち、女たち
ミニ特集 ミステリー、ホラー、SF、エッセイ…都筑道夫のThat's entertainment!
9月21日(日)〜30日(火)
特集 宮部みゆき以前に「仁木悦子」がいた〜そのハートウォーミングな世界
ミニ特集 私、SFの味方です
どんなフェアにしようか考えていたとき、棚に本を並べていたときは本当に楽しかった。
横須賀の家では、何時間も姪を抱きっぱなしで、それ以外のことは全くせずに帰途に着く。
渋谷駅で井の頭線に乗り換える前に、<啓文堂書店>に寄り、お目当ての岡崎武志『気まぐれ古書店紀行 1998-2005』(工作舎)2,415円を購入。他に海堂尊『チーム・バチスタの栄光』(宝島社)1,680円、伊丹由宇『超こだわりの店百番勝負』(文春文庫PLUS)620円を購入。宝島社の「このミス大賞」関係の本を買うのは初めて(以前、プルーフ・コピーで2冊読む機会があったのだが、あまりいい出来とは思わなかった。ちなみに『四日間の奇跡』ではない)。この作品はあまりの評判の良さに手を取った。
入江昭『歴史を学ぶということ』(講談社現代新書)を読了。高校卒業後、アメリカに留学し、ハーヴァードで教鞭をとり、アメリカ歴史学会の会長まで努めた著者の努力と優秀さに脱帽。若者の青春の記録としても読め、現在の混沌とした国際関係への示唆も含んでいる(理想論すぎるという意見もあるだろうが)。この本の帯に「新装丁1周年」とある。ということは、一年以上、講談社現代新書を買ってなかったのか。実は初めて買った新装丁だったのだ。